折々の眼(46)  《編集室より》、読んでいます  ワシオ・トシヒコ(美術評論家)



              

 各種雑誌や本紙のようなタブロイド新聞などにはたいがい、編集制作スタッフたちが自由にナマの声を寄せる「編集後記」が付きものだ。編集制作上の内輪話や身辺雑記など、一見とりとめのない小さな内容だが、ときとして、編集部の状況を率直に伝え興味をそそられることがある。本欄全体が読み手を意識したステージだとすれば、「編集後記」はいわば、個々の体臭がムンムンする楽屋のような空間なのではなかろうか。そこの方がリアルが横溢し、かえってホッと癒される。私は大好きで、できるだけ目を通すようにしている。内容的にはほとんど忘れるけれど、編集者たちのご苦労に時折、こちらから「読んでいますよ、皆さん」と思わず声掛けしたい衝動にかられることがある。

 そこで今回、勇気を出して、そのような声掛けを具体化したいと思う。さぁ楽屋から、いざステージへ!もちろん対象は、本紙最新六八五号の《編集室より》。記された個々のイニシャル諸氏に応ずるように、コメントしてみたい。

 「全日本美術新聞」の《編集室より》の皆さん、大変お世話になっています。深く御礼申し上げます。今回は皆さんを勝手にステージへ上げる愚、どうぞお許しください。

 (松)さん!編集発行人の松原清さんなのだろう。最近、オフィスが老朽化して嘆いていらっしゃる。しかし、マイナス要因をプラスへ転化するチャンスかも。決断してください。

 

 

 

 (ひ)さん!京都文化博物館には、仕事で私も何度か訪れた。そのあと、市内のホテルのレセプション会場で、舞妓はんたちと交流したことを思い出しました。まったく同じ臨場体験を共有しているなんて、実に面白いですね。


 (獏)さん!書かれた通り。政治家の言動は、正直でなけりゃあ。民主党政権のこれから、期待したいですね。

 (み)さん!神戸の映画館で連日、世界の時空を旅したとか…。美術制作や編集に携わる人間はみな、あなたのように隣接の芸術ジャンルからも、たっぷり滋養を吸収したいですね。

 (K)さん!少数精鋭の現状で、タイヘンでしょうね。でも活字メディア分野の職場の厳しさは、どこも似たようなもの。仕事が好きならば大丈夫、勤まりますよ。

 (い)さん!人は如何に死に行くか、その為に如何に生きるか。それは、現在の私が直面する切実な大テーマでもあります。

 (恵)さん!それほど時間を距てることなく突然、ご両親を亡くされたとか。お悔み申し上げます。人間は死ぬために生れるのでしょうか。

 (T)さん!行き付けのジャズ・バーでの人間観察。全体が開放的雰囲気でも、心を病む客も…。「その時の客で、空間が染まるねぇ…」という表現、惹かれました。

 

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