今月の課題 「トリノ五輪に思う」  編集主幹 松原 清

 

 トリノ五輪で開幕時寝不足だった人は多かったと思うが、はっきり言って期待外れで何日目からはニュースで確認するのでいいや、と半ばあきらめ気味になったのは私だけではあるまい。  
  華々しい開幕式の次の日に期待のモーグルでメダル確実視されていた上村愛子が5位 、過去2度の五輪で金と銅の里谷多英は全く奮わず15位に沈むとイヤーなムードになってきた。次のスノボーハーフパイプでも、世界選手権に出ず、賞金競技のトップアスリートを揃えたアメリカがぶっちぎりで、エースの出ない世界大会で優勝、準優勝しても五輪本番で格段の技術力の差を見せつけられてしまった。あの前評判はいったい何だったのか。空中の高さが全く違う。同じようにスピードスケートで世界最高記録保持者の加藤条治がまさかの6位 、前走の韓国の選手が転倒してリンクに傷がつき、その補修に8分間待たされ、コンセントレーションが維持できなかったことが主要因に挙げられているが、これも異常な程にメダル確実視してあおりにあおったマスコミと、選手の自信過剰の発言が本番に来て大きなプレッシャーになったためだろう。  
 また、期待の日の丸飛行隊は揃って失速、原田は体重がスキー板に対して軽すぎて失格という事態を招き論外。以前日本勢があまりにジャンプで独占するものだから、次から次へとルールを変更された経緯があるが、スピードスケートもそうだし、フィギュアにしても加点方式になって一時上位 に入るのが難しくなった時代があったことを思いだ

 

す。しかし、ルールはルール。しっかりチェックをするのがあたり前で、失格は本当に原田らしくない大ちょんぼである。そんなこんなで「メダル・ゼロ」に終わった1976年インスブルック大会以来のゼロ行進で最終まで行くのかとほぼ諦めていたところ、女子フィギュアの荒川静香が見事優勝、今大会初めてのメダル、それも金色を日本にもたらせた。今振り返っても素晴らしい演技だった。ショートプログラム3位 につけ、メダル圏内にあったが、フリーの演技は本当に伸び伸びとスケートを楽しんでいたような余裕が感じられた。演技の終わり頃にみせた荒川の笑顔がなんとも美しく氷の姫が笑顔を取り戻す曲の流れにもぴったりとはまり会場の割れんばかりの興奮は凄いものがあった。今日本は「イナバウアー」ブームだとか。荒川選手が大きく体を後ろに反らしながらスケートを一直線にして滑る技である。もともとスケートを一直線にして滑る技を初めて演技したのが、イナバウアー選手で、技はその選手の名前がつけられてきたが、荒川選手のはより難易度が高く、個有名が付くかも知れない。  
  どうも日本人は浮かれ過ぎのようで、政局も大事な時なのだが、ガセ堀江メール騒動を起こし、予算委員会の大切な期間を潰してしまった永田議員と民主党のバカさ加減にはうんざり。野党第一党がこの体たらくでは自民党独裁に尚更拍車がかかりそうである。じっくり物事の本質を見ることは政治に限らず大切だ。


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