夢遥ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「全美20周年始末記」  編集主幹 松原 清
 昨年の秋から準備し進めてきた全日本美術神戸20周年のイベントが6月25日の展覧会「明日への夢展」の終了で一応の幕を閉じた。弱小の美術新聞としては、本当に精一杯の内容で、人出不足はスタッフと家族の頑張りで乗り切るしかなかったが、会場の確保、後援の依頼方法から展覧会のポスター、案内状の作成、また展覧会の搬入・搬出について地元の作家の人たちがボランティアで駆けつけてくれたことが今回の成功に繋がった。そう言って過言でない。大きな温かい支援を頂いたことに改めて感謝したいたい。  もちろん、この展覧会に本当に大勢の先生方が御出品くださったことで私達全美の企画が生きた訳で、「美を継ぐ者たち」でいえば、美術界でトップクラスの先生方と各美術団体で活躍されているベテラン・精鋭の先生方、また無所属で頑張られておられる先生方の素晴らしい作品が一同に集まったからこそ、日本画、洋画、彫刻、工芸、書の異なるジャンルの作品を混在展示しても何ら異様、異質に見えなかったと言える。むしろ展覧後に新鮮な思いを持って会場を後にされた方が多かったと思う。今回御出品頂いた先生も半数ほど会場に来ていただけたが、殆どの方が驚きをもって「絵、書、彫刻、工芸が自立していて喧嘩していない、逆に引き立てあっている」のコメントを下さった。
 これまで何度も記しているが、「美を継ぐ者たち」は全美で7年10ヵ月続けたシリーズ「自選ギャラリー」(御自分で美術、制作に係る理念や今後の生き方を記して いた
だいた)に御登場頂いた先生方163名(内4名逝去)より130名の先生から出品を頂いた。  
  また、「昭和二桁世代の『現代書家』の素顔」では、田宮文平氏に執筆願った5年間に亘る全美のシリーズ「書人探訪」紹介の60名(内4名逝去)の先生方から51名の出品を頂いた訳で、その記事を出品作品の横にキャプションと共に添付し、書に詳しくない一般 の展覧者が作家の人となり、また作品へのアプローチが出来るよう配慮した。もちろん各作品間隔を1.5m以上にとり、出来るだけ隣りの作品が気にならないように展示した。私自身これまで多くの書展を拝見してきたが、これほど贅沢に会場をつかった展示はなかったように思う。  
  これから次代を担うであろう書家を世に問う、という田宮文平氏の企画を単行本化だけでなく、こうした展覧会まで広げられたこと自体うれしい。また「美を継ぐ者たち」も然りである。美術に携わる者として、ある意味仕事への大きな充実感を与えて頂いた感がある。何故展覧会を開催するのか!そうしたコンセプトが一番重要なのだということを、また展覧会の煩雑さを再認識した次第でもある。  
  初日の全美20周年の祝賀会には遠路東京から庄司栄吉先生、京都から岩澤重夫先生、中路融人先生が足を運んで下さった。また、杉岡華邨先生には心暖かなメッセージを頂いた。感激と緊張であっという間の2時間、全てに感謝。

topページへ
今月の課題