夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「思い新に 」   編集主幹 松原 清
 新年明けましておめでとうございます。昨年は神戸全美にとりましても満20周年という大変大きな区切りの年で、これまで5年間連載してきた田宮文平氏の書人探訪、7年10ヶ月連載の自選ギャラリー、また、10年間の今月の課題をそれぞれ単行本(昭和二桁世代現代書家の素顔、美を継ぐ者たち、夢遥)として発刊し、その単行本に登場いただいた先生方の作品展を兵庫県立美術館王子分館原田の森ギャラリーで開催させていただき、併せて神戸全美20周年の小宴を新神戸オリエンタルホテルで開かせていただきました。作品を出していただけない先生が多いとどうしよう、また参加数が少なく祝賀会場がガラガラにならないだろうかという大きな不安を抱えながらのイベントでありましたが、そうした心配をよそに、作品展は約200点、祝賀会には約160名と本当に多くの先生方が神戸の地まで足を運んで下さり、感激と感謝で一杯でありました。この感激を心に刻み、更なる10年に続けられますよう頑張ってまいる所存であります。今後とも宜しく御指導、御鞭撻いただけますようお願い申し上げます。   さて、先生方にとりまして2006年はどんな年でしたでしょうか。計画していた作品の制作はスムーズに進んだでしょうか。何か新しいひらめきがあったでしょうか。ともするとマンネリに陥り、自己模倣を繰り返し張ってまいる所存であります。今後とも宜しく御指導、御鞭撻いただけますようお願い申し上げます。
 さて、先生方にとりまして2006年はどんな年でしたでしょうか。計画していた作品の制作はスムーズに進んだでしょうか。何か新しいひらめきがあったでしょうか。ともするとマンネリに陥り、自己模倣を繰り返してしまう作品制作という魔の時間を如何に克服するか、それは作家誰もに与えられた試練だと思います。新たなものを生み出す為
には誰もが悩み、苦しみます。一番大切なこと は、こんな作品を創りたいという制作動機(モチベーション)が先ずあるかどうかです。よくモチベーションを高めるなんて言いますが、誘因のことですから、ある作品を見て単にこんな作品を作りたいというのも制作動機です。でもそれじゃ浅い。作品を創るということは自分の技術、思考をすべて盛り込む、つまり作品で「何を問うか」というところまでいきたい。その作家の思想、哲学までが込められているような。そうした域まで盛り込むことを「モチベーションを高める」と言うのだと思う。言うは易し、されど実践は本当に難しい。しかし、この新年の機会に改めて思って頂きたい。「どんなものを創りたいのか」。そうしたものが何も浮かばない時は、旅に出よう。読書でもいい。音楽でもいい。創造には感動が不可欠だと思う。そういう私も、最近本を読まなくなった。文章を書くには本を読まないと言葉が出てこない。以前は1ヵ月30冊以上の単行本を読んでいた。気に入った本を見つけたら、その作家の本を軒並み購入するというやり方だった。が、今はせいぜい月10冊程となっている。それも以前読んで感動したものを再読している。歴史ものでは宮城谷昌光、小説では東野圭吾を。20年前この仕事を始めた時に、私のバイブル的存在であった坂崎乙朗氏の著書を今年はもう一度読み返そうと思っている。この数年何度となくペン先が丸まってきたのでは、という声をお聞きした。決して守りに入ったつもりはないのだが、20年もやるとそれだけお付合いの幅も広がるし、自然と矛先が鈍るのかもしれない。説得力ある文章を書けるようにもっと頑張らなければ。今年がよい年となりますように。

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今月の課題