夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「2007年を振り返って 」  編集主幹 松原 清

 新年おめでとうございます。旧年中はいろいろとお世話になりました。お陰様で、全日本美術も神戸の地に本社を移して、22年目を迎えることとなります。今年も地道に現場に足を運び、頑張ってまいる所存ですので宜しく御支援、御鞭撻いただけますようお願い申しあげます。  

 さて、新しい目標を立てる前に、少し2007年を振り返ってみたいと思う。日本10大ニュース(読売新聞)では、1位 に安倍首相の突然の退陣、後継に福田首相。2位に「不二家」、「赤福」、「石屋製菓(白い恋人)」、「船場吉兆」ほか数々の偽装問題。3位 に年金記録漏れ(5000万件)。4位に参院選で自民党惨敗、民主党が参院第1党に。5位 に守屋前防衛次官逮捕。6位に新潟県中越地震(死者15人)。7位に松岡農相の自殺。8位 にそのまんま東(東国原氏)が宮崎県知事に当選。9位に横綱朝青龍の不祥事で二場所出場停止。そして10位 に民営郵政のスタートがノミネートされている。  

 確かに日本全体を考えれば、政治動向が一番大切で、4位の項の結果、首相交代となった訳で、その選挙の布石は3位 の年金問題、7位の経理の不透明による現職閣僚の自殺が大きく関わっていたから、すべて関連事項といえる。日本の防衛の要である次官の汚職問題、上が弛みきった組織だからイージス艦のデータ漏洩が出るのは押して知るべしか。また、小泉時代の最大の政治課題だった郵政民営化だが、民営となった郵便局は、利用者にとって、少なく

とも私にとって一つのメリットも感じない。振り替え手数料は高くなるし、大量 郵送時のサービスも悪くなった。過疎地域はどんどん簡易郵便局がなくなっていっていると聞くが、世界でも有数の高い郵便料をとっている日本の国としての郵便制度は本当にこれでいいのだろうか。この10大ニュースで庶民的感情を一番逆なでしたのは2位 となった様々な偽装問題ではなかろうか。毎年世相を漢字1文字で喩えたらという「今年の漢字」で2位 の20倍の得票数で断トツとなったのが、実は「偽」なのである。当然食の安全に危機感をつのらせた方は相当おられると思うが、政治と金の偽り記載、年金にいたっては社保庁の運営自体が偽りだらけといえる。なにしろ5000万件というとてつもない人の年金積算が宙に浮いているというのだから。今手書きの書類の草書や続け文字解読に大勢の書家が動員されているという。そもそもが、歴代の監督省庁の怠慢。ばれなければ何でもありが、政界から民間に降りてきた感もある。我々も姿勢を正して政治家を選ばないと、この国は沈没してしまう。  

 美術界では何が変わっただろう。公募団体にとって、国立新美術館開館に伴う会場問題が最重要事項であったと思う。移行した団体はその展示法と経費の問題、都美術館に残った団体は、2年後からの改修期間をどこで開催するかという大問題を抱えている。2008年はそれらをどうクリアして、美の主張を続けるか、そこが問われる年となる。是非ともよい年にしたいものだ。


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