夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 余 波 」  編集主幹 松原 清

 1月いぬとはよく云ったもので、正月松の内を過ぎるとあっという間に2月になった。本来は正月ボケで、ぼーっとしている間に月を越してしまうことを指すと思うが、会社は10日間以上正月休みとしているも、私は正月の書展、新年会で待ったなし。どうにか三が日だけは休みを貰っているも、書家の人たちの正月返上の作品制作、展覧会準備、会場飾り付けにはつくづく頭が下がる。で、4日以降はフル回転であった。今年は国立新美術館の展覧会も加わり、その余波でスケジュールが例年どうり行かないケースが増えている。都美術館も移館団体と新規参入団体の調整で大幅な展覧会の組み替えを実施しており、年末年始の展覧会が倍増して、取材はしたものの紙面 が満杯になって紹介月が遅れてしまう事態に陥りつつある。時系列を追ったスムーズな展覧会紹介を心がけたいが、ここ1〜2年は錯綜しそうである。  

  さて、新年以降アメリカのプライムローンの破綻の余波で世界の株式市場が大幅な打撃をうけている。インド、中国など急成長の新興国は20〜30%も値を下げており、大変な問題となっているという。何かと強権を発動するアメリカだが、世界最大の輸入国であり、アメリカに輸出している主要国がインド、中国であり、もちろん日本もそうである。今のところ日本は数%の下げ幅でしのいでいるが、大統領予備選真っただ中のアメリカの次期大統領の政策方針で、またもや世界の枠組みが変わることになるのだろう。日本政府はそうしたシュミレーションを今からじっくりとやって、最善、次善の対策を練っておくべきだと思

うが、今の国会の有り様を見るにつけそら寒いかぎりである。 
 
  話しは変わるが、1月末に発生した中国製冷凍ギョーザの殺虫剤中毒(メタミドホス)発覚に伴う数々の動きが新聞、テレビで連日報道されている。日本国内で販売されるまでケースは封をされたまま、発生が1ヶ所でなく、同じ毒物ということなら、製造から梱包の間に毒物が混入されたとみるのが妥当であろう。現在の中国はオリンッピックの影響で相当なインフレ状態にあり、貧富の差は極端になって貧民層は日常の食料を手に入れられない程と聞く。安い労働賃金で働かされている人たちの不満はピークに達している。この辺の社会問題のからみはないのだろうか。また、これまでも中国の農薬野菜問題で日本の主婦たちはナーバスになっているだけに後々尾を引くこととなろう。  
 
  それにもまして、この事件から日本の食料自給率の低さを再認識させられた。なんと現在の自給率は38%だという。62%もの食料が輸入によって賄われている。昭和40年に73%だったのが50年に54%、平成以降40%台に陥り、ここ10年程40%前後の横ばいだとか。因みに先進国のフランス132%、カナダ122%、アメリカ118%、ドイツ93%で日本はその半分以下となっている。本当はこのことが怖い。中毒の余波が日本の食料自給率の問題へと波及していって欲しいと思う。


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