夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 オーストラリアへの旅 」  編集主幹 松原 清

  昨年末に、2月頃パリの小さな美術館を見に行こうと飲み仲間で話していたのだが、いざ年が明けて寒い日が続き、4年前の2月のパリを思い出した。マイナス2度〜4度といった極寒で現地で風邪をひいてしまい、死ぬ 思いをしたことを。4人程で行く予定だったのが、結局K造船のエンジニアY君との二人旅となったこともあり、どうせなら今まで行ったことのない国に行こうと話し合った。彼も海外出張で何度もヨーロッパに飛んでおり、二人ともまだ赤道を越えたことがないことからオーストラリアに決めたのだが、私自身はもうひとつの理由があった。最近しきりと話題になっているアボリジニの作品を現地で見てみたいと思っていたからだ。しかし、決めてから出発まで2週間、ゴールドコーストとシドニー2箇所に限定したものの、それまでに片付けなければならない仕事に追われ、現地事情を調べる時間もないままの慌ただしい旅立ちとなった。  
  ひと昔前の国際便はエコノミーでも十分な食事がついて、飲み物もすべて無料。ビール、ワインを飲み過ぎて目的の空港へ到着した時は酔っぱらっていたなんてのはよくあったが、今の超格安便はベースが乗機のみで、後は全て有料になっている。私達は一応JTBでセットとして申し込んであったので、食事とソフトドリンクは確保出来ていた。でも缶 ビール一個600円もするから以前のようなバカ飲みは出来ない。相変わらず食事はまずいが、これはビジネス(ファースト)クラスでも同じだから、3〜4倍

も飛行機代をはらって9時間の空間を過ごすことは私には贅沢すぎる。現地で旨いものを食べる予算にまわす方が正解だ。
 昨年オーストラリアはひどい干ばつとなり、水不足で何万頭もの羊や牛が死んだというが、今年は新年から豪雨で観光どころでないツアーもあったようだ。ブリスベン空港でのスーツケースピックアップが大幅に遅れ、ゴールドコーストに向かってとばすバスの現地コンダクターがあれこれと説明してくれる。で、感心したことが二つ。ひとつはバスの乗客でもすべてシートベルト着用が義務付けられていること。違反者と運転手は確か200ドル?の罰金を科せられる。運転手のシートベルト法制化を世界に先駆けて施行したのがオーストラリアで、必ず運転手はその確認をしてから発車する。日本でも今年5月から義務化されるが、一般 意識はまだ極めて低いといえる。もうひとつは、高速道路が全線無料で主要都市が結ばれていることである。ヨーロッパのアウトバーンと同じ構想だが、広大な土地を移動する手段として流通 と生活手段に欠かせない政治の根幹を担っている。ガソリン税の暫定財源法が10年も続き、世界一高い高速道路の建設費と通 行料を誇る日本の現状を思わずにはおられなかった。そうこうするうちに巨大なユウカリの森を有する遊園地に到着、定番のコアラをだっこして、宿泊地であるゴールドコーストの最大の避暑地へと向かった。   (続く)


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