夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 北京の暑い夏 」  編集主幹 松原 清

 8月8日の開会式から24日のフィナーレまで、ほぼ8月を網羅して私達をテレビの前に釘付けにした北京オリンピック。チベット問題で紛糾した聖火リレーは前代未聞の惨憺たる汚点を残した感があるが、心配していたテロもなく、会期を無事終了出来たことに正直ほっとしている。  私も、水泳の北島康介の100、200の金メダルで感動をもらったひとりだが、閉幕後にどの競技が一番印象深かったか、という日本でのアンケートのトップがソフトボール、そして4位 に野球がランクインされている。ともに次のロンドン大会から正式競技から外されるが、ソフトに日本全体が沸いた。準決勝、3位 決定戦、決勝と上野投手と心中覚悟で一人で投げ抜かせ、無敗のアメリカから初勝利をもぎとった。予選1次リーグでは7対0の完封で、準決勝リーグでも4対1でアメリカに破れ、3位 決定戦でオーストラリアに4対3でさよなら勝ちしての決勝戦。いわば3度目の正直であった。敗者復活の決勝トーナメント方式にも助けられた感はあるが、3連投の上野をもり立て一丸となったナインのパッションが見るものの心を揺さぶった。表彰式も険悪なムードがなく、日本に2勝したのにもかかわらず銀メダルに終わったアメリカのナインの潔い態度にも爽やかさを感じたのは私だけではないだろう。日、米、豪のメダリストたちが、表彰後ボールを2016とグラウンドに並べ、次次回のソフトボールの正式競技復活をアッピールしたことも印象深い。  

 一方、次回から五輪正式競技からはずれる野球はみじめな惨敗を喫した。期待が大きかっただけに、逆の不快な印

 

象として残ってしまったせいであろう。キューバに負け、韓国にはまるで歯が立たず、アメリカのAAAクラスのチームにもまるで打てず、とんでもないエラーはするし、ピッチャーも総崩れとなった。綿密なデータを採取していたスコアラーのデータも活用出来ていなかったと云う。敗因をいろいろのメディアが書き放っているが、星野監督以下ジャパンのコーチ、選手も含めた反省、総括がなされていないことは問題であろう。次の世界野球の監督問題も急浮上してきているが、まずは今回の五輪野球の総括を経て決めるべきものと思う。私論だが、ジャパンは短期決戦の戦い方を誤ったと思う。野球は(ソフトもそうだが)先ずピッチャーの調子が試合を大きく左右する。だからその時の最高潮の投手を全面 的に起用すべきである。プロ野球球団から預かった高年棒の選手を違った局面 の起用は出来づらいという縛りがあるが、打たれて負けた投手をリベンジさせる意味で再起用、再々起用するまずさはどうしようもなかった。それはペナントレースの采配であろう。ストライクゾーンの違いにも投手、打者とも対応出来ていなかった。  

  それにしても何々ジャパンと監督名を冠した競技はすべて敗退、メダルを逃がしている。偶然なのだろうか、どうだろう。


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