夢遥  ゆめはるかU

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 2009 思い新たに 」 編集主幹 松原 清

 新年おめでとうございます。旧年中の御購読と御厚情に感謝申し上げますとともに、本年も御指導御鞭撻いただけますようお願い申し上げます。

 先生方におかれましては、昨年は実りある年となりましたでしょうか。世界不況の真っただ中にあって、美術界もまた大変な受難の時代を迎えております。美術市場も低迷し、画廊での購買指数も落ち込む一方で、個展を開催しても作品が動かない状況が続いており、一部の売れ筋の作家のみが裕福なコレクターに支えられているという現状ではないかと思います。しかし、作家であるかぎり作家は作品を創り続けなければなりません。それが自ら与えた自らの使命であるからです。私たちジャーナリストもまた同じだと思います。最近読んだ夢枕獏さんの『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』に「どのように生きたら良いかということがわかっているということは、自分が何者であるかがわかっているということです。・・・人が、どのような意味を持ってこの世に生じてくるか、それは、誰にも答えられません。あるいは、ずっと後になって、歴史がそれに答えてくれるかもしれません。自分が、何者であるかは、神が決めるのではありません。つまるところは、本人が決めるのです。本人が何者かになり、何者かになってゆくのです。」という一文があります。禅問答のような言葉ですが、そのとおりだと思います。

私こと松原も世間に生きるひとりの人間として家族のこと、健康のこと、経済的なこと、余暇のこと、老後のこと等で色々な悩み、迷いを持ちながら生活しています。全美の松原も、常に迷い、悩みはありますが、個人としての松原が迷っているときでも、全美の松原ならばどうすればいいのか、答えがはっきりしている時があるからです。美術の世界に生きようと決めた以上、自分に何が出来るか、その挑戦心を失えば、この世界での頓死に等しいと思います。3年前の『美を継ぐ者たち』の単行本発刊と展覧会開催は、その挑戦の第一歩でした。今年7月、第2弾の展覧会を予定しており、新年明けより具体的に動く必要に迫られております。こうした企画が出来るのも、皆様方に支えられている全美という母体があってこその話で、より充実した紙面 作りに邁進していくよう、更なる努力をしていきたいと思います。昨年11月の関東支局開設もその一環でありますが、一昨年の国立新美術館のオープンで、都美術館の諸団体の開催期間がずれてしまって、毎年同月に御紹介していた展覧会記事が期間錯誤状態に陥ってしまっております。特に年末はそのギャップが大きく、来年は12月末に年末・年始号として28頁(内カラー8頁)の発刊を考えております。新年にあたり全美の抱負を若干記させて頂きましたが、世界的不景気を吹き飛ばすようなガッツを持ちたいものです。また、こういった時こそ初心に帰り、夢を目標に切り替え、その実現に向かうことこそ尊いと思います。皆さまの本年の奮闘を祈念申し上げます。


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今月の課題