夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 明日への夢展 」-美を継ぐ者たち-  編集主幹 松原 清

 神戸全美20周年記念展を兵庫県立美術館の原田の森ギャラリー本館・西館1・2Fを使用して開催したのは2006年の6月だった。

 20周年記念に1998年より7年と10ヶ月続いた弊紙企画の「自選ギャラリー」(163名を紹介)と田宮文平氏に2001年1月から企画執筆していただいた昭和二桁台に絞った「書人探訪21」―出会いの旅―(5年間、60名)を単行本として発刊することを決め、その発刊に伴い登場作家による作品展を計画したのであった。作品展のメインタイトルを「明日への夢展」とし、「自選ギャラリー」の登場作家130名による日本画、洋画、彫刻、工芸、書の展覧会名を『美を継ぐ者たち』、「書人探訪21」の登場作家51名の展覧会名を『昭和二桁世代 現代書家の素顔』として単行本のタイトルに合わせた。

 毎月の取材と新聞発行をこなしながらの単行本3冊(もう一冊は私の今月の課題を10年間分まとめた「夢遥か」)の編集・校正と展覧会の準備は相当きつかったが、スタッフの頑張りで乗り切り、展覧会も地元作家、友人のボランティア的援助もあって好評のうちに終えることが出来た。以前計画していた『夢賞』が、バブル崩壊と阪神大震災で支援企業が立ちいかなくなり、一度挫折を経験していたので、私にとってこの展覧会を完遂できた喜びは言葉では言い表せない程であった。今も美へのあくなき探求心を持ち続ける作家たち、そんな作家の作品展を開催したいという気持ちはこの全日本美術の仕事を通 してずっと持ち続けていた。

その一歩をやっとしるす事が出来たと思えたからであった。いささか手前みそになるが、展覧会名とした「明日への夢展」―美を継ぐ者たち―も気に入っている。展覧会前の今月の課題で記したが、「芸術家はすべて美を継ぐ者たちである。自分ひとりで何から何まで築いてきたものでない。師や友やライバルの影響を受け、基礎技術を学び、古典に学び、今を創造しようと努力している。それは終わりのない美の探求の世界であり、その成果 が次の者へと受け継がれていく。明日への夢を持って。生きた証を残すために。」は、今も私の心に強く息づいており、何年かに一度は思いを同じくする作家達の展覧会を開催したいと思っていた。

 その「美を継ぐ者たち」の第2弾を、来る7月14日から開催する運びとなった。所は前回と同じ、兵庫県立美術館原田の森ギャラリー。本館大展示室200メートルを20〜30メートルの巻キャンの超大作数点を中心に埋め尽くす10日間の個展(保ヶ渕静彦氏)の話を聞き、それなら西館1F〜3Fまで2週間借りきり、1Fの2週間を東西の新鋭書家展(20名ほど)、2Fを二科展の精鋭作家展(×4 バイフォー、関東と関西の8名)と主体展のパースペクティブ展(9名)で各1週間、3Fを高橋重幸VS多田洋子展と加藤英正個展で各1週間実施し、すべてを含めて「美を継ぐ者たちII」として企画したのである。同時開催の競演で美術の沈滞ムードを吹き飛ばしたい。目下パンフ等準備中である。


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