夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円
今月の課題 「 エコポイントに思う 」  編集主幹 松原 清

 6月末になって本格的な雨模様が続き、水不足の心配も多少は和らいで来た感がある。蒸し蒸しとした気候はあまり好きではないが、雨の降るべき時は雨がなければ稲も育たないし、水量 を多く使用する夏に給水制限を余儀なくされる。幸いに日本の今年の梅雨は正常に終わりそうだが、世界各地では干ばつ、洪水、寒冷、熱暑など温暖化現象の余波がいろいろ心配されている。一度自然サイクルが狂いだすと、暴走する恐れがあると一部の科学者が述べているが、世界不況と相まって今日本はエコブーム一色である。政府のエコポイント補助制作に刺激を受けて、車はハイブリッドが受注目一杯状態、家電では冷蔵庫、クーラーの省エネタイプが売れ行きを大幅に伸ばし、2011年7月にアナログからデジタルに全面 切替えとなるテレビもエコポイントが付いて買い替え層の購買意欲を大いに刺激している。我が家もまだアナログで頑張っているが、この際に買い替えようかと迷っている。液晶デジタルテレビでは、大型になるほどエコポイントが高く、3万〜5万ポイント(1ポイント1円相当購買券)の商品交換が今年8月以降から実施されるらしいが、この補助金はどれくらいの予算なのか私は勉強不足で知らない。ただ、2兆円の予算が組まれた定額給付金とエコポイント、2年間限定の高速道路の土日祝日1000円の相乗効果 は徐々に生まれてきているようにも感じる。問題はエコポイント、高速料金補助金も我々の税金が大幅に投入されていることである。

必ず数年後何かで穴埋めしなければならない。で、消費税引き上げが粛々と実施されるという筋書きが隠れている(すでに多くの議員が公然と発言しているが)。一時的に回復した経済も消費税引き上げで再度沈み、浮き上がれないかもしれない。日本国民がなぜ消費を控え、貯蓄に精を出すのかという根本問題が積み残しされているからである。そう年金問題が大きく立ちはだかっている。国民皆保険、老後の安心を、というキャッチフレーズのもと苦しい生活費から捻出して収め続けてきた国民のお金を、社保庁のずさんな管理、と贅沢三昧の運営で名簿紛失、改竄したことが判明。まるで泥棒にお金の管理をまかせたような状態で、まだ解決していないことを、忘れてしまったかのようにニュースに流れない。将来の不安というものがある程度解消されないかぎり、ますます国民は自衛手段(預金)に精を出す。ましてや必要悪でテレビを買い替えており、余分な金が降ってきて、安いときに買っておこうという一時的なものにすぎず、高速1000円だからこそ、せめてレジャーを家族にとおとうさん族は疲れた体に鞭打って家族サービスをしているのである。2年後の期限を過ぎたら元の木阿弥になるのは目に見えている。

 こうしたゆとりのない状況の中に我々美術界もある。せちがらく、ストレスの溜まる現状に心休まる場を与えられるのも美術ではなかろうか。今蹲る時でない、発奮せよ美術家たち。その輪を広げていきたいと思う。


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