夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円

今月の課題 「 明日への夢-美を継ぐ者たち- 」盛会裡に  編集主幹 松原 清

 一年前から準備を進めていた弊紙企画の「明日への夢-美を継ぐ者たち-」が、兵庫県立美術館王子分館原田の森ギャラリーにおいて7月14日に開幕し、2週間でのべ4500人の展覧者を迎えて無事終了した。やって良かったと思う一方で、毎月の新聞発行の仕事の工程も考えながらの業務とならざるを得ず、心身とも目一杯で余裕も何もなかったというのが本音で、参加していただいた作家のひとりひとりともっと十分に語り合える機会を持てなかったことが心残りである。

 弊社ホームページにその模様をダイジェストで紹介する作業に入っているが、次号(9月10日号)でも特集記事を掲載する予定である。それに先立ち、少しだけ始末記を記しておきたい。今回は出品者に純粋に会場費(受付が必要な時はそのアルバイトの実費込み)のみ負担していただいた。展覧会参加するには製作費(額、表具も)はもちろん搬入、搬出の運送費、それに遠方であれば会場に出るための交通費、宿泊費等がいる。その負担は相当かかる。ましてや今回は販売のための展覧会ではない。夫々の主張を全面に打ち出したそんな個展、グループ展である。本来なら、企業等に協賛を募って弊社も動く経費は確保しながら出品経費無料の企画を進められたらベストなのだが、不況下のなか容易には協賛は得られないのが現実である。日ごろお世話になっている美術界に対して、何かアクションを起こしたい、多少無理をしても美術界の活性化の契機に少しでも力になりたい。それが私の生きた証につながればと思っている。

 

 弱小の小社に出来ることといえば、ポスター、パンフレット作りとオープニングパーティくらいである。14日の初日、現代書家の精鋭展の入選に尽力いただいた田宮文平氏、美術評論で弊紙の記事をお願いしている中野中氏、4社ほどの美術編集者がワインパーティに足を運んでくれた。出品者は大個展の保ヶ渕静彦氏、多田洋子vs高橋重幸の二人、二科会×4の8名、書は20名中6名(少しショック)の参加。二科会のグループが観光バスを仕立てて大挙参加、おかげで160名程の参加者があり、50本用意したワインの8割をカラにする盛況でスタッフはカナッペ作りに大わらわだった。主体のPerspectiveのグループ9名とバレリーナの連作個展のの加藤英正氏に展示変えした20日、2回目のパーティは約60名、逆にゆっくり話ができる場となった。自画自賛ではないが、個々6展覧会は夫々に見応えがあった。スケールの大きさで観者をフリーズさせた保ヶ渕静彦氏、精神性深い高橋重幸氏と今を抽象化する多田洋子さんのバトル、×4の8名と主体グループ9名のセンス溢れる展示と個々の主張の対比、同一モデルのバレリーナの年代を追い、娘から母への変化を捉えた加藤英正氏。書は読売系、毎日系、無所属の精鋭で引き締まり、傾向と流れ、課題が見て取れた。尚、今月号は8・9月号と致します。が、次号もひと月後(9月10日)10月号として発刊します。


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