夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円

今月の課題 「鳩山退陣、菅新総理誕生」  編集主幹 松原 清

 6月2日、列島に号外が配られた。突然の鳩山由紀夫内閣総理大臣の退陣表明の報であった。そして4日朝、内閣総辞職。262日間の歴代5番目の短命内閣となった。ついに破綻したか、と思う反面、何か空しさを感じずにはいられなかった。


 1955年の結党以来衆議院第一党を堅持してきた自由民主党が転落の憂き目をみたのが、昨年8月31日。民主党は衆参308議席を獲得、9月16日に鳩山由紀夫党首が93代内閣総理大臣に就任、民主党政権がスタートした。そもそも、この政権は不安定要素があり過ぎた。小沢幹事長の影が常につきまとい、政治と金にまつわる問題の発覚で国会運営自体に齟齬をきたした。ただでさえ、マニフェストに挙げた懸案は山積みである。連立政権に組み入れた社民党の福島みずほと国民新党の亀井静香の閣内での不協和音は高く、大きくなるばかりで、誰が見てもこれはおかしいだろうというシチュエーションが随所に吐出してきたのは当然の結果といえる。民主党のマニフェスト実現のため、明らかに相違ある他党に依存し数の論理で推し進めようとした剛腕の破綻であり、憲法改正の手続き法案も問題となったが、究極は沖縄問題であろう。国防に関わることで、根幹に安保があり、国内よりも難題の交渉相手(米国)があるということをあまりにも軽く考えていた。核の傘なき日本の防衛指針を明確にせず、解決できることではなかろう。一朝一夕に実現できるものではない。民主党は自らのマニフェストで首をしめたのである。

 

本来、民主党は5つの約束として1ムダづかい、2子育て・教育、3年金・医療、4地域主権、5雇用・経済を挙げており、6番目の消費者・人権、7番目の外交は主要項目として取り上げられていなかった。皮肉にも沖縄基地問題で実行期限をきったため墓穴を掘った感もしないでもない。


 それにしても、5つの約束も選挙の為のバラマキと言われても仕方ないことが盛り沢山。前記したように、国家行政システムの根幹の改正を度外視して事が進んでいる。仕分けのメスも斬新で実施評価はできるが、同様である。年金の問題も何故かうやむや、マニフェスト実施に莫大な赤字国債を上積みする結果は明白だ。
 午後、次期総理は菅直人氏に決定した。下がりに下がっていた民主支持が、交代の期待感で少しだけ持ち直したという。懸案の問題をどう分類、分析して対処するのか見守りたいと思う。


 話は変わるが、東京都美術館の改修に伴い、多くの公募美術団体が別会場での開催に踏み切っている。しかし、都内での公共の会場確保は極めて難しいと聞いた。何でも平等主義がまかり通っていて、団体本部が区内にあるにかかわらず区外からの申請と同じ条件での抽選。文化的内容の是非は殆ど無視である。このことは国立新美術館の抽選の時にも問題になった。美術館の格付けはやはり必要だろう。有識者の審議委員を置き、棲み分けをはかるべきではないだろうか。次期内閣に文化の文字はあるだろうか。?(6月4日記)


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