夢遥  ゆめはるか

(全日本美術『今月の課題』1996〜2005年を単行本に)
全日本美術編集主幹 松原清 著  A5版 272頁 定価2000円

今月の課題 「18年振りの北欧U」  編集主幹 松原 清

 私たちが、コペンハーゲンのカストロップ国際空港に到着し税関検査を終えて到着出口をくぐったのは午後7時(現地時間 : 日本との時差7時間)頃だったが、まだ昼間の如く太陽が中空にあった。流石に白夜の国に来たという実感に浸ったものの、出口で迎えに来てくれているはずのアンデス君が見あたらない。遅れているんだろうと思い、暫く待ったが、半時間が過ぎ、1時間が過ぎても一向に来る気配がない。これは、何か行き違いが生じたのではとスウェーデンの自宅へ電話を試みるが留守、更に半時間後の電話がやっと繋がり状況を把握することが出来た。実は、「到着日に急用が入り、出迎えが出来なくなったので、当日コペンの市内にホテルを予約している。タクシーで向かって欲しい。翌日朝に必ずホテルに迎えに行く」とのメールを日本出発の5日前に送った。確認しようと日本に電話したが、飛び立った後だったとのこと。確かに次号の編集と帰国後の発送の前準備に追われ、田舎の父の緊急入院でメールチェックもままならなかったからだが、せめて出発の前日にお世話になる側から連絡を入れるべきだったと大いに反省した。安心したら、急に空腹感が…。空港でバーガーセットで仮食、一人前60クローネ(何と960円)とは恐れ入った。ちなみに18キロ先のコペン市街まで、タクシーで5000円程。18年前の日本―デンマークのレートは0.85程で現在1.6とほぼ倍になっている。食事に厳しい旅になりそうだと、その冒頭に思ったものだった。

 

 ホテルは中央駅北東600メートルの所にあるサヴォイホテル、古い建物で設備も質素だが三つ星。それでも冬に備えて三重窓である。あたりを散策、すでに夜9時を回っている。食事処を探すが、やたら寿司バーの看板が目立つ。後で聞けば、北欧も日本の寿司が大流行して気軽にテイクアウトやブランチに利用しているとか。値段もバーガーセット並で、夜の店内も結構若者が寿司を食べているのが目につく。私たちは、寿司バーに入るつもりはなかったが、小じゃれた入り口のレストランと思い入ったところ、寿司バーだった。10時半頃ようやく陽が沈み始め、長い長い一日が暮れた。
 翌日、早起きして裏手にあるサンクト・ヨエンス湖(恐らく人造湖)の岸辺を散歩。8時になっても土曜日のためか人通りは少なく、マラソン人が何組か走っているのみで、畔に建つマンションのベランダでは上半身裸の夫婦が日光浴を楽しんでいた。
 朝10時に中島由夫氏とアンデス君がホテルまで車で迎えに来てくれて、無事再会。スウェーデンの自宅を恐らく6時過ぎには出たと思われるが、ただただ感謝。王宮広場からアンデルセンの物語に登場する「人魚の像」へと向かう。この人魚の像は1964年と1998年に何者かに二度にわたりその首が切り落とされ、1984年には腕がもぎとられるという事件にあっている。また、2003年の9月11日には爆破され、海に胴体が吹き飛ばされたが、修復され、2010年の上海万博に出品されている。
          続く


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今月の課題