神戸2007
国際芸術交流展より

野 澄 子

 2年前の4月、平成16年度和歌山市文化賞受賞記念展で高野澄子さんのミニ回顧展的な一連の作品を拝見したが、正に創作刺繍の世界がそこに広がっていた。中には制作に1年以上もかけた1.5m×2mを越える大作もあり、制作イメージを刺繍のひと刺しひと刺しに表現せしめる緻密で丁寧な仕事を目の当たりにした。
 2年ぶりに拝見した作品が、紹介の「風の群青」である。審査時の遠目には幾何文様の染色作品のように見えたが、近づくと刺繍だと分かり驚いたとは、ある審査員の言。実にグラディカルに青系の糸たちが紡がれている。タペストリーとして応接間に掛け、窓を開けば風がなくとも涼風が渡る、そんな雰囲気を醸してくれるような作品である。
 18歳で手芸を始め、欧風手芸の西浜恭氏に師事して以来50余年。創作構成を意識して日本画家、洋画家にも学び刺繍の世界に昇華させたその努力、研鑽が認められ、平成7年には文化庁地域文化功労文部大臣賞を受賞している。現状で満足することなく一歩でも前へという制作意欲と、若々しい感性が魅力である。      (松)

 

  「風の群青」

風の群青 (イーグルドニース美術協会賞)