傘寿記念 文化功労者
十代 大樋長左衛門 

 大樋焼は、寛文6年(1666年)加賀藩の茶道奉行として裏千家四代、千宗室仙叟が五代藩主前田綱紀公の命により招かれた際、京在住の樂一入の門人、土師長左衛門を同道したことにより始まる。長左衛門は大樋村に最良の土を見いだし、飴釉を用いた仙叟の好みの茶器を焼成、以降、330年余り十代に亘る大樋焼の祖になった。筆者も3年程前、現地で、九代(陶土齊)の昭和年代に実に多くの著名画家、文化人が大樋窯を訪ねていて、豊かな芸術交流がなされていたことを知った。そうした父の豊かなものの考え方を踏襲したのであろう、年郎氏は東京美術学校で学び、古典伝統を守る一方、現代空間にマッチする陶芸の在り方を模索して20代の頃ボストンに留学し、アメリカの最先端アートに触れたと聞く。そうした信念のもと現代工芸や日展に於ては、造形作家として斬新なフォルム、現代美術的な色調、絵付けの作品を発表し、独自の世界を確立して日本芸術院会員に就任、04年に文化功労者の顕彰を受けた。今展より対照たる作品を挙げた。07年12月、初のNY個展がチェルシーで開催された。          (松)

  ■ 日本橋三越本展 本館6階美術特選画廊
  ■ 2007年10月23日〜29日


 大樋灰釉花三島花入 16.7×38.7Hcm