ななこのArt interview  〜作家の小宇宙を訪ねる〜 (2)

西 本 瑛 泉

『自分で培った心、精神があって、それによって 生みだされるのが作品であって個性である。』

 60年前の夏、人類史上初の原爆が投下された広島。その広島で生まれ育ち、豊かな感性を築いた陶芸家、西本瑛泉先生を訪ねた。今年喜寿を迎える瑛泉先生は平成11年に日本芸術院賞、恩賜賞を受賞され、現在日展理事、日本現代工芸理事を務めつつ陶道一筋に邁進しておられる。  
  瑛泉先生が陶芸の道に進んだきっかけは少年時代学校の先生が読んでくれた「宮本武蔵」だった。先生はその時のことを「剣に生きる武蔵の心に感動し、何か一つのことを通 して自分を修行させたい、それを私は仕事を通してやってみようと日本画、彫刻を経て陶芸の道に進んだのです。」と振り返った。瑛泉先生は吉賀大眉氏に師事、当初は広島(原爆)のメッセージを作品として発表していたが、ある時縄文土器の真髄にふれ、縄文の心こそ日本の心と思い、縄文をテーマに制作を始めたという。日展特選作品以降そのテーマがライフワークとなっており、現在は広島からの平和のメッセージと縄文の心が一体となった作品も制作されている。その縄文との出会いを「縄文のマチェルが大変美しいと思った。繊維を編んで、二つのものが一つになって縄ができる。人間だって男性と女性が一つになって命ができる。そういう全ての根幹が縄文にはあるんです。その縄文の心を現代に創造しようと思ったのです。」と瑛泉氏は語る。若い時から宗教や哲学の本を好んで読んでいたことが人間の心、奥深さを縄文に見出すに至ったのだろう。



1960年日展初入選した
『廃虚に起つ』の姉妹作品『劫火』



西本瑛泉先生自身の言葉で綴った詩文

 

 また、自分の内側に芽生えた疑問や興味に対して通 り過ぎてしまわずに考え抜く、それが先生にとっての趣味だという。例えば「南無阿弥陀仏」の「南無」とは一体どういう意味であるのかという疑問。それを調べ抜き、写 真でも紹介させていただいている自身の言葉で綴った詩文にまでしてしまう。「思想が大事なんですよ。芸術というのは特にそうです。誰かが創った作品を見てあれいいな、作っちゃえ、で作っちゃいかん。自分で培った心、精神があって、それによって生みだされるのが作品であって個性である。思想、哲学がなくては作品はできない。」と自分の心と向き合い発展させていく行為を大事にされている。そのことが瑛泉先生の精神性の高い作品に繋がっているのだと感じた。  
  そして今の若者については「自分は将来どのように生きていくかという志を持たないといけないと思います。それが一つの希望であるし、ただお金をもうければいいとか楽して生きていくというのではなく、もっと人生の目的を高くもって志をたてる、それがやっぱり大事。」と心に素直に響く返事を頂いた。目的や夢を持てないという現代の若者だが、絶えず自己の可能性に希望を抱き、そして自分の内面 を見つめる必要があるのではないだろうか。