第62回新興展

事務局長

岡田 忠男

「瀑」

 リニューアルオープンとなった東京都美術館での第62回新興展。この度会場面積が少なくなり残念だが、これからの会全体の活性化に期待を寄せたい。
 平田春潮理事長は、これまでの、神楽シリーズから一転、四曲屏風一杯に深紅に映える1本の紅葉樹を描いて斬新。昨年、奥秩父の瀧の氷柱を描いた岡田忠男事務局長は、同所の春景を活写した。爽かな山気が漂う。永平寺を俯瞰して新緑の蒼気鮮烈な菊池柾寿。インドの旅情を多重構成で描いて風土感出した鈴木忠実。衣川昌良は、柳の風と紅梅・菜の花への光を六曲にして春爛漫を演出した。同じく六曲だが、琳派調の金箔障壁図で凛とした空間を描出した飛澤龍神。吉久保絢子は和服の婦人像に転じて存在感を出した。雪景の中のSLを想い深く描いた道中富己子、手前の雪積枝に妙に臨場感が湧く。今展最高賞の受賞は、新田志津男。年々密度をあげて樹木の点描と溜池の線描表現がいい。
大きな苔石をポイントとして磐石の構成の富田四郎、宍戸淨は、透明感ある白が清涼な趣を醸す。色彩もよく整理されている。安東フサ子は、十和田湖の厳冬期を俯瞰した作品だが、青彩が沈んで凛とした冷気が渡る。他、一瞬の光の美を捉えた白石繁馬、描写力とウイットある藤咲億桜も。(松)