奥田元宋 回顧展

―小由女とともに―

 日本画界の重鎮、奥田元宋氏が平成15年2月に逝去されて早2年半が過ぎる。その時は元宋氏の卒寿記念展が開催され、練馬区立美術館、名古屋松坂屋、茨城県立近代美術館、富山県立近代美術館と巡回されていた頃で、筆者も練馬で拝見し、元宋赤を再確認した記憶があるが、巡回完了を待たずしてまさか訃報をお聞きするとは思わなかった。
 今回は氏の没後初めての本格的な回顧展で、円熟期の大作を中心に約35点が出品されている。併せて今回は、夫人で日本芸術院会員の奥田小由女氏の人形作品10余点が「小由女とともに」という副題のもと展示され、国内4会場を巡回後、平成18年4月には広島県三次市(奥田夫妻の故郷)に奥田元宋・小由女美術館が開館する運びとなっている。今展出品の元宋氏の作品中14点が、また小由女氏の8点が新美術館所蔵の作品で構成され、ひとつのお披露目展ともなっている。
 さて、厳選された作品から一点を挙げるとすれば、「 」を再度紹介したい。日本芸術院収蔵のこの作品には燃え上がるような元宋氏の魂が宿っている。初期の文学的素養が窺い知れる「盲女と花」も魅力あるが、元宋氏の好んで使う『半心半眼』のせめぎ合いの極みがこの作品に感じられるからだ。ピンと張り詰めた夜の神気に浮かび上がる紅葉の山峰、月は三日月で絶対にありえないシチュエーションだが、作者の心気で捉えた世界である。また、「月の別れ」は『私だけの別れの想い』という小由女氏のレクイエム作品であり、清廉な哀愁に包まれる。   
  (松)

  ■9月7日〜19日 ■日本橋 島屋8階ホール 
   」1979年 215.0×156.0cm 日本芸術院