中路 融人 日本画展

 日本芸術院会員、晨鳥社会長の中路融人氏が東京、名古屋、新潟、松山、福岡の三越で「近江の四季燦燦と」と銘打った大個展を開催されている。中路氏といえば、琵琶湖の湖北風景を先ず思いうかべるが、近江の自然をモティーフとして50年になるという。その四季の変化を繊細にとらえる見事な審美眼は、長期にわたって培われた自然観察と表現手法の研究成果といえる。3年前の個展「近江十題」では湖に映える夕陽を大パノラマに切り取った感があったが、今回も「朝霧の比叡」、「耀」、「湖映」、「松韻」、「余呉冬日」、「春霞」、「霧の朝」、「浮御堂の月」、「待春」等に薄日、月を配し、絶妙な空気の揺らぎ、距離感を視覚ばかりでなく肌で感じるような域に高めている。
 しかし、今回のハイライトは1.8m×7mを越える超大作の「伊吹山」であろう。東京会場に入るやいなやその視界に飛び込んでくる大パノラマ。伊吹の中腹から山頂にかけての白銀の世界が圧倒的存在感で観者に迫り来る。17年程前に一応の完成をみて今日まであたためてきた渾身の作とお聞きしたが、左の雑木林を風雪で淡く抑えることで視点を一挙に伊吹山に導いている。改めて、その技量の高さを実感した思いである。

 



  近江の四季燦燦と

 東京展 ■ 2007年10月30日〜11月5日 ■ 日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
 名古屋展 ■ 2007年11月20日〜26日 ■ 名古屋栄三越7階特選画廊
 新潟展 ■ 2008年1月15日(火)〜21日(月) ■ 新潟三越6階美術ギャラリー・工芸サロン
 松山展 ■ 2008年4月19日(土)〜25日(金) ■ 松山三越6階特設会場
 福岡展 ■ 2008年5月9日(金)〜11日(日) ■ 福岡三越9階三越ギャラリー


  「伊吹山」  182.5×726.4cm (1990)