中 路 融 人

日本画展

■ 11月16日〜22日
■ 大阪・大丸心斎橋店 美術画廊
  (後、京都大丸巡回)

 

 日本芸術院会員・日展常務理事の中路融人氏の大阪、京都での個展。
 中路氏はこれまで琵琶湖、湖北を中心とした風景作品をシリーズとして発表してきているが、それと平行して氏の畏敬と美意識を込めた霊峰富士、伊吹山を描いてきている。今展では琵琶湖周辺と富士をテーマとし、錦秋風景を加えた新作約30点が並んだ。
陽を受け、鮮やかに輝く積雪の富士の美形、山頂付近の風を感じさせる繊細な筆致、手前に掃いた金泥の霞と松の緑が富士と見事な対比をみせた心象構成の「若松富士」、夕暮れの寂寥感を伝える「湖東の夕映」、新緑の湖北田園の朝霧を描いた「五月の頃」など、思いを寄せたシリーズ作が並んだが、新しい画肌の錦秋風景に目が止まった。上掲の「錦秋の塔」は、鮮やかに紅葉した木々の中に、凛とそびえる寺塔の存在感、正に千年の悠久を画面に描出している。同錦秋のテーマで参道と寺門を描いた小品があったが、いずれも画面上下に散らした金箔の試用がみられた。功成りて尚新展開に臨む気概が感じられた。

 

  

錦秋の塔 50号