―コート・ギャラリー国立企画―
葦の詩

小松 欽


●3月5日〜10日(11:00〜18:00)
● コート・ギャラリー国立 ギャラリー1・2

 画家人生の大半を葦ペンで紡ぐ小松欽。たった一本の葦が筆になり、「混沌の中の秩序」を描きだそうとする。画廊企画「葦の詩 小松欽展」がこの春開催されるに先立ち、メイン作120号「軌道をはずれ何処へ行く。」を紹介する。     
 2012年、たましんギャラリーの個展では「何処から来て何処へ行く」と題された。「行き先の見えない己、地球の軌道を外れ何処かに向かっている人々の中に或は自分を見付けるかも知れない」とも述べ、過去、現在、未来へと連なる人間の集団のうごめきを道化とともに表現した。このシリーズは年々思慮深くなり、今回展のメイン作に至っては猿、人間、道化が混在し、混沌の様相。そして注目すべきは画面右下に潜む自画像である。これは何を意味するのか。前回展では集団のうごめきの中に自己を見付けようとしたが、今回は完全にそこから外れ、むしろ傍観者としての立場を鮮明にしたのであろう。更に言うと「絵で物を言おうか」と静かに語る小松欽の「八十代半ばからの出発」の具現なのかもしれない。今作の画材には二種の墨も使われている。青墨は崩れゆく地球に、茶墨は暗黒世界を表わす。雲母の粉も積極的に投入されている。もちろん黒インキの葦の線。混沌の画面が語る小松欽の新たな世界だ。日本表現派同人/國際藝術家協會会長  (篠原)

 

 

   

軌道をはずれ何処へ行くIII