第32回 長岡 美和子 個展

 

●10月26 日〜11月1日 
● 滝不動 スタジオM(長岡自宅2F)

 独自の個展活動も32回を数える長岡美和子さん。書壇とは一線を画し、長岡流とでも言うべき「墨象」のスタイルを築いて精力的に作書活動を継続している。本年6月には、この10年間の総括として作品集を上梓。同時に出版記念展を開催し、更には続けてドイツ・ベルリンでの初個展も成功させている。長岡さんの近年の素材は文学作品の読書から生まれると言う。分野を問わず読破し、その断片に長岡さんの創作意欲が合致したとき、そこにある一字が墨象へと昇華する。今展の新作は全て福永武彦の著書から想を得、材を得ていると言う。
 出品は書25点、日本画4点。掲載の「触」はその中でも殊に輝いて見えた。うごめく線が塊になる偏部分に対して、旁部は縦画を颯爽と貫く。特にこの一本の縦画の定着は試行錯誤中に忽然と生まれた線のように思えるし、それが長岡さんが言う墨の「象」なのかも知れない。仮名作品に見る大きな空間構成に大胆な連綿を降らせる表現も、長岡さんにとっては書の象(かたち)なのだろう。(篠原)

 

 

 

 

思いかね…(貫之)

墨象「触」