第38回長岡美和子 個展
三浦朱門「冥府山水図」より「魂の微動」


●10月21日〜27日
●船橋/滝不動スタジオM

14年前から続ける文学作品からの題材選定。今回は三浦朱門「冥府山水図」から想を得た19点の「墨象」作品が中心。何れも半紙に一字を構成するスタイルで長岡さんの「墨象」を踏襲している。他、壁面にはマルタ共和国にて席上揮毫した墨象「縁(えにし)」(全紙)、ミュンヘンでの席上揮毫、墨象「輪」(全紙)、仮名色紙額3点、日本画3点を展示。卓上には国内外のスケッチ320枚が置かれた。毎秋開催してきた個展も38回目。まだまだ継続させる意欲に満ちている長岡さんである。
 今展から注目の2点を挙げる。まずは墨象「拗」(すねる)だ。冥府山水図のどの場面かは不明だが、何となくわかるような気もする。大自然に太刀打ちできない人間の小ささに惑う心、それでも雑然と生きていく。そんな苦悩の在処に「拗」が潜んでいるのではなかろうか。偏の縱画は垂直に伸び、びくともしない。幼部の曲線は複雑に絡みあう。まるで自然と幼き人間の葛藤のように見える。そんな想いを抱いて墨象「噂」(うわさ)を見ると、そこには何とも嘘めいた滑稽な空間がある。口に向かって頭を垂れるような尊部の姿。どこかしら人間の本性を垣間見るようだ。書き手と見る側のこういう駆け引きが実に面白い。(篠原)

 

墨象「拗」(すねる) 半紙・額

墨象「噂」(うわさ) 半紙・額