第39回 長岡美和子 個展

−谷崎潤一郎「陰翳礼賛」より
        「見えないものの正体」−


● 10月20日〜26日
● 滝不動スタジオM

 旺盛な個展活動は1984年から続く。2003年にはラスベガス、14年ベルリン、15年ブリュッセル、17年ヘルシンキと海外個展もこなしてきた。この海外展の年にも国内展は欠かさず開催。今回39回展を迎えた。長岡さんのバイタリティーは一体何処からくるものなのだろうか。毎回の取材で思うことだが、それはやはり長岡さんの「墨象」に対する思いの強さ、まだまだ充足しない未知の感覚への憧憬、そして使命感が筆を持たせているのだろうことに至るのである。その実、今回展の制作では心の変化があったと言う。その言葉を聞く前から感じていた線の伸びやかさ。どうやらこの5月、オーストリア・ウイーンでの席上揮毫の折、パネルを立てて書いたときの感覚が随分影響しているらしい。こういう体験があるからこそ、長岡さんの道は途切れない。さて今展から2点を掲出した。「見えすぎる現代」への警鐘のように思えてならない両作。谷崎文学の隅字が睨みつけている。(篠原)

 

墨象「隅(すみ)」〈半紙・額〉

墨象「滑(なめらか)」〈半紙・額〉