土橋 靖子書作展
― 心 の 書 ―


■12月3日〜5日
■東京銀座画廊・美術館 8階

 日展会員、水穂会副会長の土橋靖子さんが久しぶりに個展を開催する。前回の平成8年5月の銀座かねまつホールでの開催から約15年が経過したが、当時は1回目の特選を受賞し、いよいよその才能が開花し始めた頃で、日展、在野を問わず注目された作品展となったことを記憶している。今回までの期間に土橋さんは、正に期待どおりの飛躍を遂げ、再特選受賞後、現代書道二十人展メンバー入り、そして平成18年度の芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、書家としての確固たる地位を築いた。日展に於ても、平成20年の第40回記念展で日展会員賞「良寛春秋」を受賞し益々目の離せない存在になっている。
 この度の個展では、旧作5点を含み総数35点が並ぶという。その内訳は超大字から細字までの屏風作品9点に、パネル仕立てが2点、額・軸装が24点となっている。「伝統をふまえ、今日に生きる書とは何かを模索しつつ、風趣に富んだ『心の書』を表現したいと念じながら研鑽してまいりました」との土橋さんのメッセージが案内状に記されている。仮名本来の雅と今日性を求める心で、俳句の世界を書にたくして、また、良寛の世界にあこがれながら…制作に没頭したとお聞きした。出品作品の中、正岡子規「その中に 富士ぽっかりと 霞哉」の渇筆と潤筆の絶妙な対比、空間も意味を持ち情景が浮かぶ。
 また自身の幼い頃、忙しい母の後ろ姿を見ながらひとり遊びをしていた娘(本人)を詠んだ母の歌「赤き紐ひきずりながら厨辺に 入り来る吾子が ママ 人形おんぶさせて」が調和体作品として出品される。かなの線と余白が書き手の深意を紡ぐ作品といえるだろう。
 大字の出品作品は聞かされていないので、会場に入ってからの楽しみとなる。(松原)

 

あしびき (古今和歌集)  軸・28×18cm

 

 

 

 

四曲屏風「花」より  
  (伊藤左千夫) 24×31cm

 

富 士 (正岡子規)  額・53×37cm

 

赤き紐 (土橋いそ子)
      額・24×53cm