第19東京水穂会書展


●2月12日〜17日
● 東京銀座鳩居堂画廊3F・4F

土橋  靖子

「まだあげそめし…」

 

 春近い梅の季節に水穂会のかな作品はよく似合う。雪に耐えて芽を出し、寒冷の中に花を咲かせる麗しさ。今年も水穂会東京展が銀座のど真ん中で静かに上品の花を咲かせた。同会のかなは日比野光鳳会長がそうであるように品格を第一とし、やたら人目を驚かせるような仕事は一切ない。古筆研鑽を深めれば深めるほど、かなの本質の尊さを知り得、そこに耐えて耐え抜いてこそ身に付くもの、それが品格というものであろう。
 同展から14点を掲載した。(日比野光鳳会長は16面カラーに紹介)主なところを述べてみたい。まずは池田桂鳳。五行の流れの中に実に見るべき要素が多い。字間の間合いであり、線質の変化であり、字形の動きでもあるが全体は沈着の気に包まれている。土橋靖子の藤村。敢えて濁点をつけて読みやすくする。このところ取り組んでいる「かな表現」と「文学」の融合の一端。土橋のセンスが凝縮されている。日比野実の涼しい線条。前半二行の中心線が際立つ。薄木嘉子の使転の強さや秋田素鳳の寸松庵構成、水野裕子の細線の筆意など、間近で見る小品に潜む魅力に溢れる。(篠原)