―平成18年度芸術選奨―  文部科学大臣新人賞に

水穂会副会長
土 橋 靖 子

 水穂会副会長で朝日現代書道二十人展に連続出品されている土橋靖子さんが、平成18年度(第57回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。
 書分野では昭和46年度の青木香流氏、昭和52年度の小川東洲氏以来29年ぶりの快挙で、もちろん女性では初めてのこと。贈賞理由は「仮名の古典がもつ優れた造形力に学び、さらに独自の表現力を求めて活動している仮名作家。展覧会で毎年発表する屏風の大字は、和様の造形美を大きな文字に活かすことに成功している。本来小さい文字の仮名が展覧会場で存在を主張するために乗り越えなければならない課題で多くの作家がめざしてきたことであるが、水穂書展に出品された作品『夏目漱石の句』(京都市美術館、8月)のように、近年は字と字の響き合う安定した品格の高い作品作りができており、新進の世代の作家では抜きん出た実力を有し、大いに評価できる」である。
 その評価は、平成15年の現代書道二十人展に40台半ば(昭和31年生れ)で大抜擢されたことでも判ることだが、その大抜擢のプレッシャーを更なる創作の糧にして豊かな線質を極めてきた研究心と絶えまぬ努力があったからこその受賞といえる。周知のとおり土橋さんは昭和一代の名匠といわれた日比野五鳳翁のお孫さんである。確かにその血統の良さを感じるも、柔らかく香るような深い情感を醸す小・中字作品と大字の構成センスの良さは、土橋さん自身が求め続けてきた書品を深める追求から生まれ出ているといえよう。        (松)

 
    第44回水穂会書展出品作「夏目漱石の句」の前で