第4回臨池会新春展より
会 長 杉岡華邨

 文化勲章作家、杉岡華邨会長率いる臨池会が東京展を開催したのは4年前、関西の特にかな団体がこぞって東京進出を果たす中、文化勲章の受章の翌年からの実施となった訳で、正に満を持しての旗揚げとなった。
 すっかり恒例となってきた東京・銀座での新春展だが、この銀座展にも杉岡氏の展示に関する美意識が具現されている。マイドームおおさかでの本展の時に特設している日本間の床の間とまではいかないまでも、作品が飾られる「場」を設置して書の鑑賞の理想的な一角を供しているのである。
 昨年10月12日から新春1月18日まで柴舟・五鳳・華邨かな三人展が奈良市杉岡華邨書道美術館で開催され盛況を博したところだが、かな世界を代表するふたりの巨匠から教えをうけたことの精神的基盤が今の華邨芸術を確立せしめたといえる。その作品集のメッセージのなかに華邨氏の作品制作の基本が記されている。「書の作品においても、同じ平面芸術であるので、統一性と立体性のない作品など考えられません。」と絵画と同じ視点に立ち、特にかな美は、散らし書きを構成骨格の基盤として、墨の潤渇や文字の複雑簡素の対比により立体感をだすというのが、華邨流散らしの理論である。柴舟師の^品のよい書を書く、_直筆で書く、`散らし書きの要諦と五鳳師の^美しい変化に富んだ行構成、_その行と行との呼応感ある組み合わせ、`その場にあうデフォルメされた文字の形、それらが創りだす空間美。それはまさしくふたりの師の書から抽出され、自らの感性で導き出されたものである。
 今展には「青丹よし」と二行に大字手法で突入れた線の厳しさに潤滑呼応を活かした軸作品と、ふんだんに散らしを入れて絶妙な空間美を構築した額作品「くだらぼとけ」が出品された。滋味のあるしっとりとした作品といえよう。
 また、この度『仮名の行者―杉岡華邨の風貌』金田石城(著)が鳥影社から発刊された。本紙15面に紹介させていただいた。     (松原)

  独自の散らしの理論を構築
  
     くだらぼとけ                   奈良のみやこ