第30回 香瓔選抜展


創立30周年記念「香瓔全国一万人展」
■1月25日〜30日
■東京セントラル美術館
■ 東京銀座画廊・美術館

西川 壽一

「藤裏葉〈巻 部分〉 」

 榎倉香邨創設の香瓔会が創立30周年を迎え、それを記念とする「全国一万人展」を企画、そのメイン展として銀座で第30回香瓔選抜展が開催された。テーマは「表現の開拓」。選抜展は、代表作家展、群像展、新鋭グループ燦書展と技量・役職、新進の作家で3展示に分かれていたが、幅広い書家層を改めて思った次第であった。初日は榎倉会長の会場解説があり、日展、在野問わずの盛況で、清冽にかな理論を展開する内容に多くの書家が耳を傾けていた。
榎倉会長「孤独の瞳」は牧水の歌5首の四曲半双。落款に「再び破調をかく」とあるとおり、破調にならざるをえなかった歌の真意をくんだ展開である。所々のポイントに漢字作品に用いられる遊印を意図した捺印の試みが印象に残った。体調を崩されたのが心配だが、光宗道子副会長の小字の切れも香瓔には必要な1点である。次代を担う岩永栖邨理事長「幽玄」も変化にとんでバランスも有り、豊かな広がりが出た。モネの睡蓮を連想させる原奈緒美「幽遠」、西川壽一の細字に徹した取り組みに頭が下がる。纏まりあるも、もっと大小変化で情熱欲しかった林浩一「PULSE」、後谷芳琴のマッス表現も意表をつく。小林章郎、高廣幸悠も自風も持ち味をだし、互井佳寿の揺れ広がり、徳岡敬子の鮮烈、中江容邨の絵画感、超大字の骨格構成に挑戦の中川聖久も。(松)