寧楽書展

■ 3月9日〜15日 
■ 高島屋大阪店 6階美術画廊


襟立 玉英

「吉 事」

 

 文化勲章・芸術院会員の杉岡華邨門下の高弟10名による研究展が企画され、寧楽(ねいらく)書展と銘打った第1回展が大阪a島屋で開催された。寧楽とは「奈良」の別呼称である。奈良を本部とする臨池会ならではの銘々であろう。
 さて、10名の選抜出品者には約3m程の壁面が割り振られ、各3点内外の作品が並んだ。その中各人1点を紹介させていただいた。
秋山英津子「あたたかき心」は、淡墨の前4行が包み込むような柔和で、後ろ2行でその気を受けて締めた秀作。襟立玉英はピンクの扇面に情緒があったが、余白空間が生きた「吉事」の広がりに注目。小川雪邨の線質は華邨調が程よく滲む。扇面の「鴬」は放射収束の理論に合致し、調和ある。衝立の大作に筆力魅せた佐伯華水だが、真仮名、かなを併記した扇面「大宮人」の線質対比は見応えあった。細字、小字の捌きに真骨頂ある杉山玉翠、扇面に凛とした優美さがある。高木厚人「山の雫」は絶妙な潤渇対比で魅せた佳作、豊かな広がりがある。もう1点の4紙構成は挑戦作で次回に期待出来る。今回の楢崎華祥は「初桜」の風姿の良さに尽きる。遅速、潤渇、大小、線情変化に調和があった。訥々とした淡墨での構成、薄青に淡墨が映る前島泉洲「奈良の都」。丸谷華丘の扇面は清爽感があり、繊細な求心力を感じる。ぼってりと惚けた味わいで言葉を親近感で繋いだ山本高邨、自分自身のリズムである。次回の展開が又楽しみである。(松)