米本一幸〈書〉
宏二郎
〈画〉
― 墨と彩の響流展―(その二)


● 11月17 日〜19 日
● 豊岡市立交流センター 稽古堂

 

 書家・米本一幸さんと、そのお孫さんで画家・宏二郎さんの書と画のコラボ展。昨年3月、米本さんの故郷、宏二郎氏の出生地の宇部市で第1回コラボ展が開催されており、今回、仲田光成記念第17回豊岡全国かな書展(3月号紹介予定)開催に併せて―墨と彩の響流展―(その二)が市役所脇の会場で開催された。
 ここ豊岡は米本さんの師・仲田光成翁の生まれ故郷で、宏二郎氏にとっても幼少の頃から両親(石井啓一郎・啓子/日本フィル)の音楽活動の関係で訪れたゆかりの地。会場は、余白美豊かなかな書作品と透き通った色彩の絵画作品が静かに響き合い、ゆったりとした時間が流れる空間を創りだしていた。
 その中、注目作を挙げた。米本さんは、開催の地・豊岡出身の京極杞陽の句3首、城崎を詠んだ鉄幹の歌、自詠句や秋桜子など20点を出品。「野菊にも…」は、1行目を大胆に真中から書き出して、末部近くの渇筆部で「但馬住」と潤筆で絶妙の散らし書き。「朝がすみ…」は、連綿を抑えた放ち書き、単字の「苺」の散らしが、にくい程のセンス。空間を意識し独特の響きを醸した。
 コラボ作品は蕪村の句新年、春夏秋冬の5点宏二郎氏が描き、米本さんが句を1枚書きする。当然句の雰囲気をイメージして作画するわけだが、蓮と白菊に書の醸す季節感が調和する。
 一方、宏二郎氏の作品は正にロマンチスト的ニュアンスと純粋に自分の世界を追求する意志が感じられる。蝋燭の炎を描いた「そこにあるもの」は高島野十郎のオマージュ的作品として捉えられたが、「命」の証としての蝋燭、それを精霊流し的世界に展開し、「水」に浮かぶ「火群」として表現した。自然観察の究極、写真に限りなく近いが写真ではない「泉」、小さな命に焦点を当てた「そこにあるもの」シリーズも独自の趣があった。
 米本さんは、毎日書道会常任顧問・あきつ会会長で幸風会を主宰。宏二郎氏は1977年生まれ。東京芸大油画専攻・卒。2006年、ART BOX 大賞展グランプリ受賞。2000年以降全国各地で個展開催。近年、香港にて個展、活動を海外まで広げている。(松)

 

野菊にも…(京極杞陽句)

 

 

コラボ作品  飛石も…(蕪村)

コラボ作品  しら菊や…(蕪村)

朝がすみ…(秋桜子)