恩地春洋 書展

恩地 春洋

「寒花晩節抄」

■ 9月30日〜10月5日
■ 東京銀座画廊美術館 7階


 毎日書道会理事、書道芸術院理事長、春洋会会長等、数々の書壇要職にあり、今なお東奔西走の日々を過ごす恩地春洋の個展。
 今展期間中も訪台をこなし、最終日に成田から銀座へ直行というハードスケジュールであった。これほどに多忙を極め、よくぞ制作時間を確保できるものだと思うところだが無用の心配か。
 恩地春洋の書を鑑賞するときいつも頭に浮かぶことがある。師川h白雲(梅村)の求めたるところの継承と独自性ということだ。川h白雲は川谷横雲に師事して書の骨力と古典解析を徹底して学び、海外にも出向いていわゆる現代書の礎を築いた人。ところが突然、書壇の花道を自ら避け、各地を遍歴、住み着いた場所で古法研究に明け暮れた孤高の書家であった。川h白雲の益を受けた恩地春洋の書は年々白雲の境涯に迫ってくる。 書は人なりとは、書は書き手の生きざまと解せよう。書は単なる作りものではない。恩地春洋の一字書や小字数書に対峙するとそのことを教えられる。先述の川h白雲の求めたるところがここにあるのではないか。「行雲流水」や「雲」の作品を造形上や線性のみで読み解くことは、恩地春洋の書を理解するには至らないであろう。駆け巡る、人間恩地春洋の書なのである。
 一連の「捨」シリーズ、自詠句作品などを含め、全表装を青で統一した五三点の出品。   (シノハラ)

 

   

     

「捨」(154x180)