生誕百年記念 小林斗庵 篆刻の軌跡
― 印の世界と中国書画コレクション―


●11月1日〜12月23日

● 東京国立博物館 東洋館8室展

 

 2004年、篆刻家として初めて文化勲章を受章した小林斗庵の生誕百年記念展。東京国立博物館、読売新聞社主催。東博東洋館でのロングラン開催となった。今展は斗庵代表作を一堂にするばかりか、生前熱心に蒐集した日中名家の印譜、中国書画などを同時に公開し、斗庵の業績を回顧するもの。学識と技術、芸魂を兼ね備え、方寸の世界に精緻な美意識を確立させた稀有の作家の全貌が蘇った。
 展覧は6部構成に拠る。第1部「古典との対峙」、第2部「作風の軌跡」、第3部「篆刻コレクション」、第4部「制作の風景」、第5部「中国書画コレクション」、第6部「翰墨の縁」。それらに振り分けられた作品は前後期の展示替えも含め、延べ246点。ここでは第1部、第2部から4点の代表作を年代順に紹介する。
 「杯盤狼籍」は斗庵66歳時の作。代表作の意識をもって制作したと言う。微妙な重心移動が動勢を生み、四字一体の白文印を成す。「愚者之定物以疑決疑」は71歳作。斗庵の代名詞ともいえる細密細線による朱文印。趙之謙の法を尊び、倣った跡を存分に窺う。「絶塵」は86歳時。斗庵刻印中最大のもので一辺が10センチ前後と思われる。金文と甲骨文を意図的に組み合わせた妙味に円熟の境地がある。「游干藝」は最晩年作。辺縁を排除した90歳の気骨と斬新を見る。(篠原))

 

 

游干藝(2006 年日展)

 

 

 

 

 

 

 

愚者之定物以疑決疑(1988 年現代書道二十人展)

絶 塵(2002 年日展)

杯盤狼藉(1982 年日展)東京国立近代美術館蔵