佐藤勝昭 第16回個展


● 11月3日〜11日
● 御茶ノ水・アートギャラリー884

 

 日本画府常任理事、日府展洋画部審査員の佐藤勝昭が一昨年に続いて16回目の個展を開催した。今展は今年3月に刊行された「佐藤勝昭スケッチ紀行vol.1ヨーロッパ I 」(美術年鑑社発行)の出版記念としての開催。パリを中心にドイツ・ハレ、オーストリア・ザルツブルクなど、ヨーロッパ各地のスケッチから起こした油彩、水彩24点の展観。佐藤には工学博士(応用物理学者・東京農工大学名誉教授)としての顔もあり、これまでの多岐にわたる活動は国内外に認められてきた。各地のスケッチの数々も、そんな国際活動の折りを見て描かれたもので、佐藤にとっては画業と学問は同じ脳内活動としての位置づけなのかもしれない。と考えると、佐藤の画面はいかにも理知的でアカデミズムを帯びたものと勝手に想像しがちだが、実はそんなことはない。これまでの日府展に発表してきた大作もそうであるように、温かさが充満しているではないか。幾重の厚塗りのマチエルがそれを象徴しているのだ。掲載の最新作「シャンゼリゼ通り(パリ)」もその一つだ。画面上部に茂る緑の葉のタッチは勢いそのままに情感をぶつけている。パラソルの赤も強烈だ。人は穏やかにまどろんでいる。 (篠原)

 

 

シャンゼリゼ通り(パリ)F30