嶋津俊則 

ドローイング展

パリのマルシェと街角

 

■2008年12月7日〜13日
■ギャラリー・アングルワン

 二元会会長、嶋津俊則氏の地元大阪でのドローイング展。今回はすべてドライブラシによる制作で、鉛筆やコンテ、ペンとは違った新鮮な雰囲気となった。
 油彩のドライブラシ技法によるドローイングはシェンナ、アンバーをベースにした線描が主体だが、レッド、イエローなどを要所に配した作品も見受けられた。紙面に緑系のセピアの軌跡を描きながら走る伸びやかな筆が、パリの湿度を帯びた空気を、行き交う人々のざわめきを凝縮する。ドライブラシの効果を最大に引出すため、支持体の紙や色彩にも苦労があったと聞く。様々な紙を試し、ある版画紙に辿り着き、また彩色も絞り込んだ。だが筆に迷いがない。長年描き愛し続けるパリの景色は嶋津氏の内自然に溶け込んでいるのだろう。氏のタブローにある濃密なマチエールと色彩のリズムは、渇筆とセピアの濃淡に置換されつつ透明感を増し、タブローに勝るとも劣らぬ表現世界を得たといえよう。今後もこのドライブラシの可能性を追及していくと聞くが、その展開が楽しみである。尚、今展には氏が取材訪門したスペイン・ラマンチャ、イタリア・トスカーナ等の数点の陶彫作品が展示されており、平面に留まらない氏の表現の幅広さを改めて思ったしだいであった。(松)


 

   街角のレストラン(パリ)