令和元年度 西宮市民文化賞受賞記念
―カルーセルを主体とする
  60年に亘る画家の歩み―

伊藤弘之 展


● 3月23日〜28日
● 兵庫県 西宮市立市民ギャラリー

 

 独立美術協会会員・伊藤弘之氏が、令和元年度西宮市民文化賞を受賞。昨年予定されていた受賞記念展がコロナ禍のため延期されていたが、万全の対策のもと市民ギャラリー2・3F全室を使用して開催された。
 これまで、伊藤氏が開催してきた回顧的大個展は、2004年の画業40年展、2008年の大阪芸術大学短期大学部退官記念展、2011年の自選展、そしてこの受賞記念展で4回目となるが、筆者はすべて会場に伺ってきた。しかし、これまでの最大展示数、90点に及ぶ大作群が年代別に整理され展示された今展の流れは、正に伊藤弘之という画家の美に対する生き様、人生が凝縮されたドラマのように感じられ圧倒された。
 伊藤弘之氏は1937年、横浜の生まれ。1956年に京都市立美術大学に入学し、須田国太郎、黒田重太郎、今井憲一に師事し、在学中の第26回独立展に初出品を果たしている。1960年の卒業制作銀賞「謝肉祭」から10数年の技術の錬磨と自分探しを経て一つの答えにたどり着いたのが1974年「テントのある風景」ではなかろうか。サーカスのテントを見つめる馬上のふたり、恐らく伊藤氏といつも取材に同行した奥様の視線だろう。その視線を天空に放たれたカルーセルの馬に託したシリーズが開花したのである。木馬を分離浮遊させ自己の眼とすることで幻想性、神秘性を孕んだ作品へと徐々に昇華し1994年独立会員就任。その後も空中の木馬は北海道、グランドキャニオン、日本の情景(桜)など、歴史や自然讃歌に展開をみせる。作家の思いを画面に込めながら。(松)

 

 

 

 

 

テントのある風景 大阪府知事賞 100F  1974

慈光遊歩児島 善三郎賞  150F 1982

渓谷残照  200F 1998