第3回加藤三男油絵展  

 モダンアート協会会員で、近年ユニークな顔シリーズの発表を続けている加藤三男氏の油絵個展が上野松坂屋美術画廊で開催された。

 まるで仮面を被ったような大きな顔、無機質な表面 の中に真実が隠されているような暗示がある。これは恐らく自画像であろう。人は否応無しに現代社会の中で仮面 を被っている。その仮面を取り去って個となることで物の本質に対等に対峙できるのだ。画家としての氏の心のメッセージでもあったわけである。

 今回の個展では、そうした大作の顔シリーズとは違った一面 を見せてくれた。幻想的な物語の中の一場面を連想させるような深い色面、裸婦が瓢箪に同化し、梟の雛は幻夢の中に生命を宿す。ギリシャ神話の中にイメージを沈ませ、月の女神セレネと永遠の眠りの刑を受けた美青年エンデュミオンの悲恋を描く。驚きはその色彩 の鮮やかさである。改めて氏のカラリスト振りを再認識した次第であるが、極めてカラッとしたスペインの香りがするのも85年からの5年間のスペイン滞在(大学研修含む)の影響だろう。 (松)

-アニミズムの幻想を追い求めて50余年-

■ 12月10日〜16日   ■ 松坂屋・上野 南館7階 美術画廊
シリーズ      「エンデュミオン」