幻想の世界を求めて
第10回加藤三男油絵展


● 11月29日〜12月5日
● 松坂屋上野店 本館7F 美術画廊

 70歳を期して団体展より離れ、隔年開催の個展を思い立ってから20年にわたり確実に実施してきた加藤三男氏の信念の強さに敬服する。また、その間に兵庫県立美術館・原田の森ギャラリー本館1階での2度の大個展を開催し、90歳を迎えようとする今尚新たな世界を求め研鑽を重ねている。
 このエネルギー。今展で新表現の作品に対峙し、改めて思った次第である。
 「幻想の世界を求めて」が一貫した氏のテーマだが、自然や社会の現実の歪みを敏感に感じ取って「こうあるべき」との世界を描く。敬愛するA・J・トインビーの思想哲学に共感した氏のメッセージが「幻想の世界」なのだと思う。時にはギリシャ神話の世界の思想を思考し、また己を梟化して現代を凝視する。上掲「幻想詩」は、古代の巻貝を配した最新作だが、実にブルーが澄んで透き通っている。上空から南の島を俯瞰した穢れない海のイメージが残る。  (松)

 

 

 

 

 

幻想詩 20F