Enko Nishi ART EXHIBITION

西 炎子展

 暗黒の宇宙に突如超新星が誕生したような無数の光の拡散のイメージ、或いは叩きつけられた色粒の発するメッセージと言おうか、西炎子の世界は一種キャンバスとの格闘によって生まれ出てくる。そして、描かれたものを自然界の形態にあえて当てはめれば、太陽または心臓(心)と思わせるものだけが残り、その他は見事に強烈な色と筆致のなかに埋没してアンフォルメルの世界を構築している。
 西さんはその際限のない作業を「ダイアローグ(対話)」と名付けた。10年程前のことだが、それまではまだいわゆる半具象であったと聞く。その形への拘りを一切捨てた。捨てたことで楽になった。抽象は精神世界への限りない旅である。描いたそのものが描き手の西さんに「これでいいのか」と語りかけてくる。そのキャンバスの中の相手を西さんは『彼の君』と呼ぶ。すべて自分自身の心の葛藤なのだが、喜怒哀楽が出力となる。彼の君に手玉に取られ、また力づくで押さえこんでここ十年「ダイアローグ」シリーズを続けてきた西さん、確かに色面の発色効果は数段良くなり、観者を魅了するようになったが、作品に充満したエネルギーは増大し「静のダイアローグ」に収まりきれなくなってきたという。そうして今回第16回個展に登場したのが「動のパッション」である。彼女の内なる情熱に彼の君は果たして如何なるアクションを取るのか、楽しみに見守りたい。掲載は収まり切れない色彩のドグマが弾ける様だ。           (松)

Series PASSION
■ 5月30日〜6月4日 ■銀座 シロタ画廊


「Passion 0403/mixed media on canvas/162.1×324.2cm」