第49回近代美術協会展

■8月21日〜30日

東京都美術館

西  炎子

「パッション 1105」

 運営委員・会員が60余名一般少々を併せて100余点の小グループだが、それゆえに各自が精一杯の努力を展開、かつ単なる描写に終らず表現意識が明確に感じる。油絵具は格闘するに足りる画材であって、枯れた味わいを狙うべきでないのであって、肉体的にも精神的に体当たりするくらいの勢いが欲しい。もちろん描き過ぎて失敗する例も多々あるが、初めから引き算描写は歓迎しない。もちろん何でも描けば良いのではなく、簡略化や抽象化などモノがモノであることの本質や、モノを通してコトを表現すべく熱中することが大切だろう。本会にはそうした意識が感じられ、ゆったりした展示空間に熱意が溢れている。
 受賞作について触れたい。小川華奈代の「不動明王」は明晰な色と構成に知的な情念をこもらせ、新田輝昭は本会では数少ない写実で過不足ない描写で孤心を浮上させ、阿佐川渉はパッション溢れる中に今日的苛立ちを打ちつけ、檜垣篤夫は情念に爽風を吹かせた。
矢野洋子はスケール感豊かなムーヴマンに心情を盛りこみながらカラッと仕上げ、岡本薫の不思議な伸びやかさ、阿多恵子の鋭い造形と色の響き。(中野)