第 3 回  波 展 HATEN展

■ 8月27日〜9月1日
■サンパル市民ギャラリー(神戸中央区)

 新世紀美術協会の高橋重幸氏が立ち上げた研究展。何度も何度も条件を変化させながら繰り返し打ち寄せる波のように自作に向かい合おう、という意味が込められている?と思われるが、当初の内輪のグループから新たに上野忠靖、下村宜夫の二人が加わり内容に変化の兆しが窺えるようになってきた。これこそ高橋氏の思惑だったわけで、互いに良い意味での競争をはかり、自己の世界を構築していこうという出発点にたったといえるだろう。各人4〜5mの壁面に20号程の中作品から小品複数点の発表。
 高橋重幸「Soy」は自画像。表面的なピエロの奥に秘めた意思、あせり、苛立ちが垣間見れる。実際のモデルを通した空間に浮かぶ精神性を如何に描くか、そんな課題が窺える。銀崎陽子「意志」は実写へ向けた自身の決意を題とした。観念的な形象描写を見直し、自然の摂理を知ることがデッサンの真髄だが、これでいいという安易な世界ではない。継続が必須だ。足立慎治「そこにある石」、もともとシュール系の作品を描いているが、今後は発想の飛躍が欲しい。その飛躍に伴い必要な技術が新たに生まれるからだ。薮内史子は文字と絵の混在調和を意図した作品に挑戦中、「菫」はひらがなと鉛筆デッサンの組み合わせである。まだ離反して意図ばかりが見えるが、突き詰めればおもしろい。上野忠靖「鎧」の切り口は興味ある1点。情念の空間世界を持っており、マチエールも工夫ある。スペインでの一人暮らしで苦労しただけに自分の世界を絵として構築するイマジネーションがある。下村宜夫は「ゆるやかな流れ」にみるように穏やかな風景を精緻に描写して雰囲気ある。しかしながら、モチベーションがもうひとつ弱い。風景のシチュエーションが加われば大いに変身しそうだ。メンバーは固定ではなく、やる気のある作家の参加はおおいに歓迎だという。入るものは拒まず、去るものは追わずの方針だが、いかなる団体に所属していようと役職が何であろうと作家はつまるところ自分ひとり、自分の世界を築くしかない。次回が楽しみである。 (松)

 

 

   
     籔内 史子  「菫」