月刊美術新聞「全日本美術」最終号(2026年7月20日号)より
今年12月、書道界として長年の悲願であり懸案であった「書道」のユネスコ無形文化遺産の登録の最終審議が開催され、その実現が迫っている。
この運動が始まる前は「日本の書展」の存在意義をここまで意識せず、書展のひとつのおつき合い的捉え方であったと記憶する。嘗て1980年に東大寺大仏殿の大修理にあわせて実施された「昭和大奉納」が当時の書家521名が分担して経典を写経し奉納したが往時は大いに盛り上がったと聞いている。それと同じように12年に及ぶ運動が、全国書美術振興会主催の「日本の書展」の勢い、結束力を高めたといえる。
今年も5月2日〜関西展で幕開けし、6月3日〜中部展、6月11日〜東京展、7月14日〜九州展と移動し、8月〜翌年4月まで全国への巡回となる。関西展マイドームおおさかでの取材では現代書壇巨匠から15点、書壇代表から3点を挙げた。
井茂圭洞は比庵の歌を。いのち毛を繊細に入れ込んだ微細な響きが新鮮。黒田賢一は小沢碧童の俳句を淡墨で書し、白昼夢の情景を演出する。高木聖雨「遯世」は出家のことだが、俗世の煩わしさ、人間関係から逃れ自身の生き様を貫きたいとの意であろう。書の奥行きを探りつかむために。動と静の線が絡み、緩やかな調和を創る。星弘道は「法華経」を清廉な楷書で律した。書線が澄んでいる。土橋靖子「空すみて」はアララギの島木赤彦の歌。自然の音、温度まで含めた情景を展開する。そして先の個展を過ぎて、より自然体に戻り新たな境地の作品を構築した新井光風「不違如愚」。牛窪梧十は自詠句を金文で恍けた味わいを醸した。キリリとした線質いかした杭迫柏樹。大らかな空間の下谷洋子。淡墨での潤渇切れよい高木厚人。心境静かな仲川恭司。気持ちが書になる中野北溟。独自の近代詩文書の域を構築する永守蒼穹。情緒の機微が筆線に加味された日比野博鳳。真神巍堂の真摯な作品も。有岡俊崖、北野攝山、中村雲龍も挙げた。(松)
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