今月の課題 「24 年振りのフィレンツェ…そしてパリ」(5) 編集主幹 松原 清
サンタクローチェ教会の右奥に革製品の技術専門学校と小さな売店を持つというScuola del Cuoio をめざしたが、これがなかなか見つからない。さんざん迷った末に、通りのお店で聞こうと入ったところ、何と日本人の経営者。すぐそこだよ、と指で示した先は20メートルもいかない目と鼻の先。何の看板もない入り口で、もし聞いていなかったら見過ごしたかもしれない。入り口をくぐると、こじゃれた中庭があり、その先に売店、工房へと続く階段が見えた。財布、名刺入れ等どれも柔かな革で丁寧な縫製。みんなが土産選びの間工房見学をしたが、世界中から技術取得に留学しているらしく、いろんな国の若い職人さんの卵が熱心に実作業をしていた。S氏が買った化粧品のコンパクトのようななめし革の小銭入れは私も買っておくべきだったと反省したが後の祭り。私は妻が是非この機会にという革のコートの値段交渉に殆どの時間を費やしたからだ。超高級とまではいかないが、安く手に入れた彼女は満足顔。私は何も買わずで、まぁいいか!… 因にScuola del Cuoioとグーグルで検索すれば、インターネットで情報ゲットできるので、お奨めしたい。その後、ぶらぶらと街の小さな工房や店を見学しながらホテルへ。私は画材店で貂の毛の水彩筆を見つけて自分への土産とした。
5日間のフィレンツェはあっという間に過ぎた。下調べをせず24年前の記憶だけで巡るのは、やはりちょっと無理があったようだが、それでも、新しい発見を幾つもしたし、ルネサンス発祥の古都は日頃の忙しさを一時忘れさせてくれた。
6日目、昼過ぎにパリ・ベルシーのホテルに入り、オペラ座の日本食街で待望のラーメンと焼き飯にありついた。周辺を散策してルーブルを抜けると、時間は既に4時過ぎ。急いでオルセー美術館に向うが、長い入場行列が待っていた。どうにか入場時間(5時迄)ギリギリに間に合ったが、中に入って驚いた。内部が改装され展示が数年前と変わっている。そして、カメラ全面禁止を知る。不覚にも私はその事実を知らなかった。最終アナウンスまでの2時間あまり印象派を中心に観賞。時間不足は否めなかったが、夜の凱旋門からのシャンゼリゼぶらを楽しんだ。
翌日は強行スケジュール。ノートルダムからモンマルトル、更にこの日21時30分まで開館しているルーブルへ。Hさんは自分の研究の為、ガイドを頼んで別行動の予定が、連絡のすれ違いで随分ホテルで待ったが会えず、一人で目的地まで行ったと後で知った。
初めて入ったモンマルトル博物館はロートレックやルノアールに関わりある有意義なスポット。以外なパリを発見する。そしてルーブルの3階。恥ずかしい話しだが、私はいつも誰かを同行しており、地下から1階、そして2階のモナリザと巡り時間切れ。8回目で初めて3階に6時間を費やし大感動。フェルメール、ラファエロ他の名作が大量に身近に。正に美術の宝庫であった。たかが8日間の旅だがされど8日間。 了
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円