今月の課題 「神戸 全日本美術30周年」 編集主幹 松原 清
いよいよ神戸 全日本美術新聞社30年周年記念企画の催しまで1ヶ月を切った。大詰めを迎えた今も尚、やらなければならない仕事が山積みである。もう若くないのだから、そして環境も違うのだから早く計画すれば!と御意見番の妻に言われたのは1年以上も前。うん、うんと生返事を返して、また小言が返ってくる。でも、日々何も考えていなかったのではない。1年半以上前から既に会場となる原田の森ギャラリーも抑えていたし、祝賀会のホテルも予約していた。そして、おぼろげながら企画の詳細構想を頭の奥で練っていたのだが、それを形として提示できるのに時間がかかったのも事実である。
前回の20周年は、展覧会を実施する基盤があった。本紙に連載した田宮文平氏の「書人探訪21ー出会いの旅」と企画連載の「自選ギャラリー」 がフィナーレとなったので、それらを単行本として上梓する一方、そこに登場いただいた作家による展覧会を開催しようと即決定することができたのである。今回も田宮氏の連載「歴史の中の書」を『名書散策—歴史の中の書—』として上梓する。しかし紹介作家はすべて物故作家である。私の「今月の課題」を纏めた『夢遥Ⅲ』も上梓するが、これも対象外である。
さぁ何をどのように企画するか﹆どうやれば30年の節目のエポックとなるか。そして結局行き着いたのは、素直にこの30年間に親交を得た先生方にお願いして参加して下さる方での展覧会を開けばいいのだ。ということだった。そうと決めたら全美の黎明期からお世話になり、導いていただいた今は亡き先生方の遺作も展示したいという思いがつのって無礼を承知で御遺族や会幹部に御相談させていただいた。その結果、早々と杉岡華邨先生の令夫人から快諾をいただき、更に笹波会から桑田三舟先生の作品を出品いただける旨の連絡をいただいた。天皇陛下の御右筆を長らく務められていた中島司有先生、庄司栄吉先生の御家族からの打診のお電話、大山忠作先生の御令嬢からのスケッチならという御連絡、榎倉先生の御尽力で早世されたかなの畑林畊陽先生も。また、青山慶示氏より青山杉雨先生の作品を御出品頂ける旨のうれしい御返信があった。劉蒼居先生と金子卓義先生の遺作並列展示も実現できそうである。その後もお願いの手紙の御返信が入っている。反対に、以前の住所に御家族が住いしていなく舞い戻ってくる依頼手紙も何通かあった。
そのことと並行して、企画展示と祝賀会の発起人のお願いも。思いの他、多くの重鎮に発起人としてお名前(12面開催CMに15名)を記させて頂くことが出来た。これもうれしい限りである。兵庫県、神戸市、県・市教育委員会、芸術文化協会の後援もいただいた。
現在、約190名の作家が御出品いただける旨の御連絡をいただいている。問題は祝賀会の参加者。団体展のように参加の予想がたたない。ガラガラになったらどうしようと不安感がよぎる。
が、兎に角今はやり抜くことに徹するしかない。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円