今月の課題 「不順な天候、2月明けに思う」 編集主幹 松原 清
今年の正月は温かく本当に過し易い日々が続き、暖冬かなと思ったとたんに大寒波の襲来で、沖縄に雪が降るという前代未聞の荒れた天候が日本列島を覆った。筆者も新年から4度東京を往復。日帰り、2泊、2度の3泊のうち17日から18日にかけての大雪に遭遇。傘を差しながら、重たいキャリーバックと鞄を持って移動するという散々な目に遭った。電車も運休・遅延が続出し、一変に交通機能がマヒをする東京の自然災害に対する脆弱さを改めて実感した。この思いは3・11東日本大震災の時に強烈に感じたことだが、何も改善されていないということだ。大自然の猛威に対しては、ちっぽけな人間の知恵では完全対応出来ないとは思うが、せめて次善の策ぐらい考えるのが行政の責任であろう。二次災害は人為的怠慢、ミスが大きく関与するからだ。トーンダウンしている福島原発のその後の対応はどうなっているのだろう。あれほど原発の安全性が問題視され、代替エネルギーを真剣に考えなければならない気運が生まれていた、あの叫びはどこに消えたのか!次々と再稼働していく原発、本当に大丈夫か、テロに対する備えはあるのか?また、義援金は被災者に確実に届いているのだろうか、国の特別予算は官僚の分捕り合戦が露見して、一層政治不信を助長したし、赤十字の義援金手数料問題もまことしやかに広がった。現在、赤十字はホームページで「全額」手数料なしで被災15都道県に届けている旨のメッセージを開示しているが、海外救援金には「全額」表示はなく使途に関しては不透明だ。
胸が痛む事故もあった。1月15日、長野県軽井沢町でスキーバスの転落事故である。乗客乗員41名のうち運転手2名と大学生13名が死亡(病院で1名死亡含む)、26名重軽傷という痛ましい事故だ。死亡したのは若い大学生ばかりで、本当にやりきれない。激安のスキーツアーにはやはり裏があった。大型バスの運転経験が1回しかない運転手の採用と大型は苦手と申告しているにも関わらず乗車業務命令をして、安全な高速道路を通らずツアーのルートをはずれて夜に危険な峠越えを走るとは、事故率を自ら高めているようなもので、完全に人災である。この事故、直接は運転手の技量不足だが、バス会社ばかりかツアー企画会社の責任でもある。実はバス会社は事故2日前の同月13日、運転手の健康管理を怠るなどの法令違反があったとして、バス1台を20日間の運行停止とする処分を受けていたのだが、ツアー企画会社はそうした確認もとっていなく、格安のバス運行契約を無理強いしていたようだ。小泉時代の規制緩和問題まで取りざたされているが、ビジネスに関わる人間性の欠如が大きく横たわっている。
忙中閑の出来事もあった。3年ぶりで長谷川きよしの木國堂ライブに出かけた。実は46年来のファンなのだ。深い歌声の響きに酔う。
もうひとつ、お知らせがある。弊紙2面に連載中の「名書巡礼」、田宮文平氏体調不良・療養のため復帰まで休載。御容赦乞う。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円