今月の課題 「春近し」 編集主幹 松原 清
本号が手元に届く頃、東大寺「修二会(しゅにえ)」お松明(3月1日~2週間)の12日深夜(13日午前1時半頃)、若狭井という井戸から観音さまにお供えする「お香水」を汲み上げる儀式「お水取り」が行われる。テレビでの放映でしか知らないが、春を迎える関西の代表的な行事である。今年1月~2月にかけての異常な寒暖差を伴う気候もどうやら落ち着いて、いよいよ春の気配を肌に感じるようになってきた。国公立大学の前期入試の合格発表も終わり、高校入試も今が花盛り。筆者もそんな頃が確かにあったが、高専という高大合算の学校で、一足早い入試・合格発表であったため、しゃかりきになって入試勉強をしたという記憶もなく、世間のいう入試の大変さを幸か不幸か経験していない。しかし就職活動の苦い思い出はある。一部上場のいわゆる一流企業へのチャレンジで周りは大学院卒の連中ばかり。二次試験で見事不採用、その後二部上場会社にすんなりと入社できたのだが、その1年後、第一次オイルショックで一部上場の大企業で合理化の嵐が吹き荒れて、苦労して入った新入社員の多くがその対象になった。筆者が失敗した会社も相当な人員削減があったと聞いた。何が縁でどう転ぶか分からないのが人生。最良の結果かどうかは死ぬ迄わからないし、常に前向きに生きていくしかない。「桜咲く」の報はうれしいが、「桜散る」も新たな展開を天から求められていると思えばそれも良しではないか。
今年に入って、スポーツの世界でも新たな異変が生じている。リオ五輪女子サッカーの予選で格下チームに引き分け・敗退が続き、危機的状況。澤穂希の司令塔、いなくなって初めてその重要度を再認識した。女子サッカーも今が試練の時か。それに対して、がぜん面白みを増したのが卓球である。世界卓球の団体戦は男女とも絶好調、快進撃で予選を勝ち上がり、6日の決勝へ日本男女が進み、テレビ放映に釘付けの人達も多いのではないだろうか。既に銀メダル以上がすでに決定。決勝相手はともに中国、本紙最終校正が6日のため結果は記せないが、久しぶりに筆者の卓球心をわくわくさせてくれる。と言うのも筆者も中学3年間、高専5年間、就職して社会リーグ4年間ずっと卓球選手として試合に出ていたからで、その当時(45年程前)も確か日本の卓球は世界でも高ランクに位置していたと記憶する。でも、中国は当時からずっと世界最強ランクを持続しており、勝利すれば凄いこと。卓球ブームに新たな火がつくかも。
他、プロ野球オープン戦も始まっており、3月25日の開幕を控えている。春の高校野球選抜大会も3月20日から始まる。桜満開の便りも近い。
4月には新入社員の季節、人事異動も始まる。13面にも記したが、東京藝術大学学長の宮田亮平氏が文化庁長官に4月1日付けで就任する。氏は文化庁監督下の公益社団法人日展の第4部(美術工芸)の理事であり、出品者である。何かちぐはぐ感が残る気になるニュースだ。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円