今月の課題 リオ五輪に学ぶ 編集主幹 松原 清
8月5日から8月21日まで開催されたリオ五輪。地球上で日本とは真反対の裏側に位置するため、時差はプラス12時間、現地時間の午後8時にエスタジオ・ド・マラナカン(サッカー専用競技場)で開会式が挙行された。日本では6日の午前8時、弊紙9月号の校了が5日に終了したので一週間ぶりに加古川の自宅に帰っていて、翌朝偶然開会式をテレビで見ることが出来たのである。光彩を多用した藝術パフォーマンスはなかなか深い内容で、生命の誕生からブラジルの先住民、ポルトガル人の到来、奴隷として送られてきたアフリカ人、その後移民として到来したアラビア人、日本人などの演技がそれぞれの子孫によって演じられた。その解説がたぶん流れていたと思われるが、私は何かでテレビから目を離していたため知らなかったが、日系人の登場した時間帯はメイレレス監督(藝術パフォーマンス)の意向によって、広島市への原爆投下の時間帯(8時15分)に合わされたと後に知った。環境破壊と気候変動もパフォーマンスの骨子に組み込まれた。選手入場では選手達が夫々植物の種を持ち、その種を金属製の8面体に差し入れて行進、207ヶ国、初めて難民選手団(10名)の参加もあり、最後のブラジルの入場が終わると、種をいれた金属枠のボックスがスタジアム中央に五輪の形に並べられた後に緑の木が現れ、緑の五輪が表現されるなか「環境五輪」の精神が高らかに示された。
急激な経済低下のなか、競技場建設の大幅な遅れ、汚職問題で大統領権限停止(副大統領がセレモニー参加)、開催反対デモや治安悪化と様々な問題を抱えながらも五輪を大きな事故なく終えられたことの意義は大きいのではないだろうか。
このリオ五輪では日本人選手の活躍はめざましいものがあった。連日号外が出るほどのレスリング、柔道のメダル奪取。水泳の復活も見逃せない。男子400メートルリレーでは8年前の北京五輪に続くメダル、それも銀。体操も念願の団体での金メダルを獲得、内村航平の個人総合五輪連覇の偉業も加わり日本中を湧かせた。卓球の善戦、男女共のメダル。シンクロナイズドスイミングの復活。初ではカヌー競技もある。一方、見るかげもなかったのがサッカーと女子バレー。予選敗退は遺憾ともしがたい。とは言ってもメダル獲得数過去最高の41個(金12、銀8、銅21)。みなさんは、何に一番感動されたのでしょうか。
私のランキングは1、男子400メートルリレー銀メダル。2、体操団体金メダル。3、卓球の男女共の善戦。続々と選手達が帰国し、テレビに登場している。エピソードに触れられるのもいいが、少しお笑いではしゃぎすぎの感もある。
そう、4年後の東京五輪である。あまりにも無責任で杜撰な予算執行。リオでも建設遅れが相当騒がれたが、ライブコンサート並みの簡易客席で対応して大きなブーイングも出なかった。立派な箱が一義ではない。膨れ上がったお金は誰の懐に入るのか。小池都知事の奮闘ぶりに目がはなせない。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円