今月の課題 「クロアチア」を訪ねて(1) 編集主幹 松原 清
いつの頃からだろうか、アドリア海の真珠と呼ばれる絶景の都市に行ってみたいと思うようになったのは。恐らく、洋画家の描いた作品が記憶の中に残り、そこがクロアチアの飛び地「ドゥブロブニク」という舌を噛みそうな都市の名前であると知ったのは2年ほど前のことである。それまでクロアチアといえば、異常に強い格闘家ミルコ・クロコップぐらいしか知らなかったが、改めて地図で確かめると、アドリア海を挟んでベニスを起点(ベニスがアドリア海に面している事にも思い至らなかった)にイタリア側海岸の800キロに及ぶ対岸がクロアチアの領土として伸びている。だから、私はてっきりクロアチアは海洋国だと思い込んでいたのであるが…。
それが昨年10月頃、偶然に新聞広告にクロアチアの格安旅行を見つけ、これ幸いと仲間を募って2月中旬の旅を申し込んだ。2月頃が取材が少なく、少々寒くても大丈夫だろうと。だが、3週間前になっても連絡が来ず、こちらから確認すると、「飛行機の席が確保できないのでキャンセルになりました」とのこと。少し憤りながらも既に実施決定している1ヶ月後の3月16日発8日間に再申し込みしたのである。旅は行く迄がワクワクして楽しいし、後にいいことが待っていると思えて頑張れる。仕事の合間にはネットでクロアチアの動画を見たりして、少しだけでも現地を知ろうと努力もした。が、直にはイメージ出来ない。こればかりは行って肌で感じなければダメだ。でも、仕入れた情報をひとつ。アドリア海は、イタリア側とクロアチア側の海の色と透明度が全く異なる。何故か?それはクロアチアの海岸はヨーロッパ南アルプスが海岸付近まで迫り、山々は全て石灰岩系であるという。そこに雨が降ると石灰水が地下に浸透し、海底から大量に沁み出してくる、それが海水を浄化して透明度が上がり、海底の石灰土に光が届いて紺碧の青になるというのである。中国の九寨溝も同じ原理であるが炭酸カルシウムの不純成分の差で色が異なるのかも。コースで2番目に気になった所が「プリトヴィッツエ湖群国立公園」、これも舌を噛みそうで覚えきれない名前である。前記の九寨溝の規模を少し小さくした16の湖と92の瀧からなるマイナスイオンの聖地。鱒が多く生息しており、鱒料理が昼食に付与されている。あと、観光地はシベニク、トロギール、スプリット、そしてあこがれのドゥブロブニクである。
あれやこれや情報を仕入れる余裕も、取材の合間の旅行準備で吹き飛んで3月16日、我々仲間5名(私、妻、友人のM氏、弊社のHさん、編集工房のS氏)は関空午後11時35分発のエミレーツ航空の317便の機上の人となったのである。添乗員付き、関西から14名、東京から14名のツアー。中継地のドバイで合流するという。何しろドバイまでが約12時間、ドバイがエミレーツのハブ空港となっており、想像を超えた大きさである。約4時間のトランジット後ベネチア行きEK135便に。約6時間のフライトである。(続く)
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円