今月の課題 「様々な問題がらみの年末」 編集主幹 松原 清
早いもので今年も残す所1ヶ月半となった。台風21号は過去最大級の規模(最大風速60メートル)で、その被害が心配されたが、神戸も42メートルを記録し、事務所の窓が唸る経験をした。次の週末10月22日が衆議院選挙投票日で、またまた台風22号が最接近し、投票率の低下が心配されたが、案の定53・68%と戦後2番目の低さを記録した。結果は、自民281、公明29で過半数を大きく上回り、維新の11を加えると憲法改正の2/3を超えるものとなった。そもそもこの選挙の意図は、トランプ大統領のアジア歴
訪が決まり、その帰国までに北朝鮮の危機対応をできる体制を整えようとしたことによる。杞憂で終わればいいが、私たちはそれほどの戦争勃発の危うさにいるということを自覚すべきで、決して人ごとでない。国が対応を誤ればとんでもないことになるのである。国内の利権がらみの問題も解決すべきことだが、国際危機など眼中に無い野党の自民批判に、多くの国民も不安感を持っていたということの裏返しであろう。この時期、新聞・テレビの偏向報道も大きな話題に上った。中立であるべき公正の砦が反政府オンパレードのニュースを流す。意見の両方をまな板に載せ、事実関係を解りやすく述べて、それぞれの主張の結果を分析すべきであろう。小池百合子が新党「希望の党」を立ち上げたのも選挙の局面を大きく変えた。しっかりと都政をやり遂げてから国会に戻ればいいものを、すっかり求心力を失ってしまった。2020年の五輪は本当に大丈夫か!豊洲の問題もある。
そんなニュースの飛び交う中、改組 新 第4回日展が開幕した。受賞、入選、落選の悲喜こもごもだが、何か喉に引っかかるものを感じる。一つは新入選が多くなったこと。それに伴いベテランが落選する。師弟関係が結構強い出品者が多い日展で師が落選して弟子が通る。コンクールであればそれもいい。日本の美術の育成をも包括してきたのが日展ではないのか。こうした逆転現象の行きつくところが怖い。
また、日展開幕日の11月3日、私の敬愛する篆刻家の河野隆氏が肺がんで急逝された。昨年12月、日展会員賞受賞直後の台湾での初個展(私も現地取材をさせていただいた)も大成功で終え、周囲の大きな期待を背負い大東文化大学教授の退官後の新たな決意も示していた。同時に関東と関西の篆刻界を繋ぐ役割を果たせる最適な作家であっただけに69歳という年齢での死は本当に惜しまれる。
今、報道はトランプ大統領のアジア歴訪の話題で湧いている。韓国訪問の実りは何かあったのだろうか。この場にきて尚告げ口外交とは恐れ入る。中国も想定内の結果。国際的な外交感覚が重要だ。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円